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SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。

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SF読もうぜ②『SFマガジン』1960年3月号

1960年3月号


 創刊の祝辞にハインライン、中曽根康弘(科学技術庁長官)、荒正人(評論家)、阿部公房が加えられている。

アーサー・C・クラーク『スタート・ライン』

 三国間の協同事業でソビエト、アメリカ、イギリスは月へ出発する時刻や場所を会議で決めていた。ところが、イギリス本国からの指令で「わたし」は一時間ほど出発を早めなくてはならなくなった。これで月へ到着するのはイギリスになるはずだったが・・・・・・。

 このシリーズは読んだことがあるのですが、その中でもこの話は好きですね。宇宙開発競争で現実はクラークのイギリスは米ソに取り残されていたわけですが。

ロバート・シェクリイ『恋愛株式会社』

 カザンガ第四惑星で生まれ育ったアルフレッド・サイモンはロマンチックな恋愛を求めて地球へとやってきた。そこでは爛熟した文化を売り物にした商業施設がたくさんあり、そして、恋愛も商っているという。そこで、サイモンは「恋愛」を買うのだが・・・・・・。

 皮肉がきいていて面白い作品です。資源が枯渇した地球は文化的な面で収入を得なければいけないというのは技術を売り、アニメやマンガを輸出する現在の日本にオーバーラップしてきます。ラストの台詞が大好きです。

フレドリック・ブラウン『ノック』

 一対の男女を残して人類は宇宙人に殲滅された。動物園のようなところに収容されたウォルターは機転をきかせて彼らから逃れることを考え付く。

 洒落たラストに酔いしれる作品。さすがフレドリック・ブラウン。未知の宇宙の生物の生態というのはやはり面白いです。

アイザック・アシモフ『二重太陽の惑星』

 アシモフ博士の科学エッセイ。

アルフレッド・ベスター『モハメッドを殺した男たち』

 時間もの。妻の不貞を目撃した未知大学応用強制学教授ヘンリイ・ハッセル氏はタイムマシンを七分半で作り上げ、妻の先祖を殺害するが現在に変容はない。さらに、ハッセル氏はモハメッドやコロンブスやキュリー夫人ら有名人を次々殺してまわるのだが・・・・・・。

 容赦なく次々殺す。しかも何度も殺す。マッドサイエンティストとはいえ、ちょっとやりすぎです。現在の変容というのは時間ものの特徴ですが、僕にとってはちょっと面白いという程度の作品だった。

J・T・マッキントッシュ『第十時ラウンド』

 愛しの人、ベリンダと結ばれる夢に破れて、ジーン・プレイヤーは十度目の再生(セコンド・チャンス)を試みた。再生とは「記憶を持ちながら過去に戻ることのできるというもの」だった。彼はこれまで九度の同じ時間を過ごしながら、九度ともベリンダと結ばれることはなかった。今度は成功することができるのか?

 九度同じ人生を過ごしながら、同じ女性を愛するなんて、すごい執念だ。記憶を持ちながら過去に遡行できるという考えって誰もが一度は考えたことがあるんじゃないかと思うのですが、この物語は『ドラえもん』ではないので、ちょっぴりビターな大人の味がします。

日下実男『地球物語Ⅱ』

 連載ものの科学エッセイ。惑星の距離関係を東京駅とか新橋とかで説明していただいてるのですが、地方在住の僕にはさっぱりです。

大高正人『二十一世紀の夢 海上都市トーキョウ』

 えー、続けて言いますが地方在住なので東京がどうなろうが、あまり興味はありません。が、水上都市にはかなり興味があります。「道路が水上に」というのは叶った気がしますが、水上の都市はまだですねー。

アイザック・アシモフ『もの言う石』

 アース博士シリーズ。放射性物質の資源のありかに関して珪素生物シリコニーが残した「アステロイド」というダイイングメッセージをアース博士が鮮やかに解決する。

 筒井康隆が『私説博物誌』で取り上げてまして、ずっと読みたかったんです。シリコニイはカワイイのでしょうか?見かけは石に六本の脚が生えているだけですからねえ。でも、喋り方はカワイイです。

岡俊雄『SF映画展望2 放射能・銀幕を席捲す』

 放射能→巨大化という単純な図式の物語は大好きなのでゴジラ以外の作品もみたいなあ。

バートラム・チャンドラー『檻』

 宇宙船の不時着で到着した主人公たちだったが、宇宙船は大破。この星で暮らすしかなくなってしまう。女性を獲得するための決闘が行われている最中、主人公を含む六人が宇宙人に捕らえられ檻に入れられてしまう。彼等は必死に自分たちが知性ある生物だと証明しようとするのだが・・・・・・。

 途中の決闘シーンなどが陳腐に思えてしまうのは僕だけでしょうか。あまり、印象に残らない作品です。

M・クリンガーマン『無任所大臣』

 色盲の老婦人クリスウェル夫人は息子の嫁に連れてこられた野原で不思議な青年たちに出会う。老婦人の暖かい心が人類を救うとは彼女は夢にも思っていなかった。

 ヒューマニズム溢れる作品。侵略してきたのは、ナメック星人だったんでしょうかね?

ロバート・A・ハインライン『犬の散歩も引受けます』

 〈殺人意外なら、どんなことでも引受けます〉という未来のサービス会社に持ち込まれたのは、遊星間科学者会議を地球で催すために重力軽減装置をつくれ、という難題だった!

 すごく面白い!ジェネラル・サーヴィス会社の面々のプロフェッショナルな仕事振りが読んでいて爽快です。今で言う派遣会社ですね、これは。社会への奉仕でお金をもらうという仕事の理想が描かれたユートピア的な作品。金だけじゃないんだよ、っていうラストの台詞が心に染み入ります。

SFらいぶらりい

 チャド・オリヴァー『時の風』の紹介。

さいえんす・とぴっくす

 人工臓器や筋肉の開発、ベーリング海峡埋め立て計画、郵便の機械化実現(これはある程度現在成功している)など、興味深い記事がいっぱい。

SF事典

アンドロイド(外見が人間そっくりの思考力を持つ機械)、アステロイド(火星と木星の間にある小惑星)、アストロゲイション(星間航工学、航宙学)だそうです。
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