ＳＦ読もうぜ(52) ジェイムズ・Ｐ・ホーガン『星を継ぐもの』

　月面調査隊が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。すぐさま地球の研究室で綿密な調査が行われた結果、驚くべき事実が明らかになった。死体はどの月面基地の所属でもなく、世界のいかなる人間でもない。ほとんど現代人と同じ生物であるのにもかかわらず、五万年以上も前に死んでいたのだ。謎は謎を呼び、一つの疑問が解決すると、何倍もの疑問が生れてくる。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残がいが発見されたが･･････。ハードＳＦの新星ジェイムズ・Ｐ・ホーガンの話題の出世作。

　おおおおお。解説の鏡明さんの言うとおり、「サイエンス・フィクション」ですよ。次々と明らかになる事実に、最後まで驚愕し続けました。その中でも、やっぱり最後の謎解きが一番よかったです。非常にポジティブ・シンキングでそこも○。しかし、壮大な話やなあ。

　主人公は『宇宙船ビーグル号』の主人公みたい。入ってくる様々な情報を総合して、そこから答えを導き出したりする、と。各部門の関わり合いから新たな答えが出てくるとこには、興奮を覚えました。内容の性質上、すらすらは読めないですが、じっくり読んでいると、自分が頭がよくなったみたいな錯角に陥ります。

　ＳＦマガジンの最新のオールタイムベストでは15位。評価に違わぬ名作。続編もあるようなので、これは読まなくては！