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SF読もうぜ(32) ロバート・F・ヤング『ピーナツバター作戦』

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ロバート・F・ヤングの短編集。


『星に願いを』

 未来の軍事国家を舞台に、許されぬ恋に落ちた男女。現実には面識のなかった彼らは、実は夢の中で、逢瀬を繰り返していたのだ。しかし、その夢の中には顔のない軍人が出てくるのだ・・・・・・。

 こういう既成概念は人間の思い込みにすぎなくて・・・・・・型の話は大好きなんですよねえ。意志の力で、なんでもできる、みたいな。限界から解放された『マトリックス』のネオみたいな開放感があるんで。

『ピーナツバター作戦』

 旱魃の起こった年、ジェフリイ少年は、妖精に似た不思議な生き物と出会う。「ミスター・ウィングス」と「きらめきサリー」との心温まる交流。

 いい話やー。まあ、確かに最初から最後までみえみえの話ではあるのだけれど。自然と微笑みが浮かぶ作品です。

『種の起源』

 マンモス型航時機で、旧石器時代にやってきたファレルは、類人猿にさらわれた一人の女性を救おうとしていた。どうやら、敵は類人猿だけではないらしく・・・・・・。

 なんだか『ドラえもん』の日本誕生あたりを連想してしまう内容。ヤングの作品にはこういった女性偶像破壊を試みている作品もあるんですねえ。僕も女性を偶像視、というか神聖視しちゃうタイプの人間なんで、共感しちゃいますよ。

『神の御子』

 技術神(テック・ゴッド)が夏を奪い去ってしまったため、レイズハンドは夏を取り戻すため、技術神のもとへ行こうと技術尼(テック・レス)のもとを訪れる。彼らは、技術神の許へ向かうのだが、そこに「神の御子」を名乗る人物が現れて・・・・・・。

 いやー、面白い。新鮮なイメージがありますね。もちろん、聖書に関連づけられたお話なんだけど、西洋基盤の物語なので、無宗教の日本人としては、なんだかエキゾチックな感じ、というよりは異質な物語だ。しかし、やはり登場する女性キャラクターが素敵すぎる。向こうの文化を理解するには、聖書は読まないといけないなあ。

『われらが栄光の星』

 ナサニエル・ドレイクが操る宇宙船フライ・バイ・ナイトはラムダXiフィールドに入ってしまい、彼と宇宙船内にあったものは、すべて半透明になってしまう。しかも、乗り合わせていた密航者をのせていた右舷は消え去っていた。罪の呵責に耐えられないドレイクは、密航者の女性の過去を訪ねてまわる・・・・・・。

 小説としての作りは、たぶん一番巧いです。もうちょっと、気をつけて読んでいたら、もう少し、面白く読めたのに・・・・・・と少し後悔。予言の物語なのに、予言の部分をよく読んでなかったばかりに・・・・・・!しかし、面白いお話です。

 総評:『ジョナサンと宇宙クジラ』と違って、女性の神聖視破壊というテーマを扱った作品が多いことにびっくり。だって、ストリッパーのヒロインがが五作中三作品に登場してますから。そんなにストリッパーが好きですか?ヤングさん。
 まあ、そんなことは関係なしに良質な短編集だと思います。なんだか神聖な気持になれますよ。
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