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SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。

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SF読もうぜ(143) レイ・ブラッドベリ『火星年代記』

img074.jpg 火星への最初の探検隊は一人も帰還しなかった。火星人が探検隊員を彼らなりのもてなし方でもてなしたからだ。つづく二度の探検隊も同じ運命をたどる。それでも人類は怒濤のように火星へと押しよせた。やがて火星に地球人の町ができたが、そこには火星人たちの姿はなかった・・・・・・精神を欠いた物質文明の発達に厳しい批判の目をむけるポエジイとモラルの作家が26篇のオムニバス短篇で謳いあげたSF史上に輝く永遠の記念塔!

 素晴らしかった。

 こういう古典ものを読むときに対する警戒心から、あまり期待しなかったのがよかったらしく、面白さがどんどん胸に飛び込んできました。サイエンスなフィクションではなく、どちらかといえばファンタジイに近い感じの物語なのですが、そのあふれる情感に心打たれました。

 探検隊が幾度も全滅されるところがなんだか気に入りました。やっぱり、そんなにうまくいくはずねえよなあ、と。特に精神病に間違えられる『地球の人々』という章が大好きです。その中でも、火星人の精神病棟のようすが素晴らしく幻想的で、かつユーモラスで面白い!

 人類はその進みすぎた文明と、自らの幼稚さで、戦争を始めてしまい、滅びかける運命にある・・・・・・。第二次大戦後の1950年に刊行されたこの本は時代を反映した物語なんでしょうね。平和ボケした日本人には実感はあまりわかないのですが、現在も地球を破壊しつくすことのできる量の核爆弾が世界中にはあるわけですよね。そう、思うと、なにかのきっかけで我々が破滅することもあるかもしれないと、背筋が凍る思いです。

 一番好きだったお話は、『華氏451度』の世界とリンクした『第二のアッシャー邸』。ポーの怪談話をアッシャー邸を模した家で、憎いやつらに実行しちゃうという、ちょっとやりすぎともいえる物語。笑いました。

 オールタイムベストに選ばれるのもよくわかる素晴らしい物語。ブラッドベリがさらに好きになりました。

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