2061年、ヘイウッド・フロイドは高鳴る動悸を抑えきれなかった。75年ぶりに再接近してきたハレー彗星の探査計画への参加を要請されたのだ。最新型のミューオン駆動宇宙船ユニバース号に乗り組みハレー彗星をめざす――そして、みずからの手で彗星を調査する!だが、彗星に着地し探査を始めたフロイドたちを、思いもよらぬ事件が待ち受けていた・・・・・・巨匠クラークが読者の熱烈な要望に応えて贈る待望の〈宇宙の旅〉第三部!
前作の主人公フロイドが再登場。ですが、途中までぼーっと読み飛ばしてしまいました。だって、モノリスに関係なさそうなんだもん!ですが、途中から、なにやらエウロパに着陸した船の救出作戦に!「おー」と感嘆の声を挙げつつ引き込まれていきました。
宇宙空間の冷たさと、人間の暖かさが、クラークの作品を読むときに感じることです。もちろん、それだけではないのですが、長篇に関してはいい奴が多いなあと思います。この話も「いい話やー」というのがあって、読んでいてストレスがあまりなくてよかったですね。
「着陸禁止」になっていたエウロパの生物界の様子も、興味深く読みました。海をでっかい奴が跳ね回っているのを想像すると、なんだかとってもわくわくします。マンガ「ワンピース」に出てくる巨大な魚類を思い浮かべました。想像の中では、ブワアッと勢い良く海面を破って出てきた生物が、重力によってスローモーションになっていき、最高到達点でしばらく止まる。そして、ゆっくりと頭を下に向けながら沈んで行き、今度は長い胴体が頭に続いて延々と水の中に沈み込んで行き、それによって引き起こされた波がユラユラと激しく水に浮かんだ宇宙船を揺らす・・・・・・。そんなアニメーションのような光景が目に見えるようです。
宇宙空間での治療病院とか、宇宙時代の日常生活などが、けっこう見られて楽しいです。それにしても、南アフリカの秘密結社がなんで登場するのだろう?と引っかかっていたのですが、最後のところで「そうか!」と膝を叩きました。そりゃあ、南アフリカにとっては、大打撃だなあ。確かクラークの連作短篇の中でも、こういうアイデアはあったのですが、ちょっとスケールが違いますねえ。転がっているダイヤモンドのナイフというものを見てみたいものです。きれいだろうなあ。
最後の一文は唐突に思えましたが、ついに最終章に突入します。次回作ではなんとあの人物がよみがえる?うわー、楽しみ。
アーサー・C・クラーク作品感想
『幼年期の終り』
『イルカの島』
『海底牧場』
『宇宙のランデブー』
『2001年宇宙の旅』
『2010年宇宙の旅』
『2061年宇宙の旅』
『3001年終局への旅』
『神の鉄槌』
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