密航したホヴァーシップが沈み、ただひとり海上にとり残された家出少年のジョニー。彼を救ったのは、なんと一群のイルカたちだった。彼らに運ばれていった先の孤島では、科学者たちがイルカの研究のために暮らしていた。しかも、所長はイルカ語を解し、このイルカたちも人間と意思を通わせることができたのだ!名匠が、大海原の神秘と景観をあますところなく描いた海洋SFの傑作。
清く正しいジュブナイル。そのオーソドックス感が、ディッシュの作品を読んだ後では、いい息抜きになりました。家出→試練→成長という、もうわかりきった展開なのですが、逆にそれが余計なことに頭をまわさないでいい感じ。
オーストラリア、グレートバリア・リーフの美しい珊瑚礁の描写だったり、村人の牧歌的な生活であったり、南の島の楽園の姿を描かれていて、寒さに身を震わせているこの季節、羨ましすぎてたまりません。僕は夏が大好きなので。強い日差し、汗ばむ陽気が懐かしい・・・・・・。
知性を持つ海洋生物、といえば、クラーク自身の短篇に、「知性を持った巨大イカ」という冗談みたいな作品がありました。イルカの場合は、その頭のよさが科学者によって言われていましたから、あまり違和感は感じませんけど。
心の汚れた大人に、この物語はしみじみと響きました。心にぽっと灯がともるような暖かい作品。
アーサー・C・クラーク作品感想
『幼年期の終り』
『イルカの島』
『海底牧場』
『宇宙のランデブー』
『2001年宇宙の旅』
『2010年宇宙の旅』
『2061年宇宙の旅』
『3001年終局への旅』
『神の鉄槌』
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