エイリアンとともに出現した寄生生物は、人体にとり憑き、内臓を食い荒らして凶暴化していった。さらに驚異的に繁殖する黴状の生物。いち早くエイリアン侵略の情報をつかんだ軍は、司令官カーツの指揮の下に森林一帯を隔離し、住民もろとも侵略者を殲滅する作戦を強行する。その頃、ジョーンジーの身体を乗っ取ったエイリアンは、ある計画に自らの生き残りを賭けようとしていた!
捕えられたヘンリーは生き残りを賭けて、オーウェンとタッグを組みます。なんだか映画『大脱走』を思い出す展開。軍隊の隊長カーツはちょっと偏屈で変態な親父。超能力を使い、そのカーツを出し抜く様子が爽快です。
一方、ミスター・グレイに体を乗っ取られたジョーンジーは、精神の中の部屋で体制を整えなおし、持久戦に入ります。精神世界での戦いがジョーンジーのイメージで描かれ、シュールリアリズム的世界になっています。ここでも、ダディッツの存在がキーワードになっていて、さりげなく伏線が張られていて、「うまい」と唸ってしまいます。後半でベーコンに執着するミスター・グレイの様子が愉快です。
そして、ついに現在のダディッツの登場。ダンカンの死の全貌。少年たちの快挙。などの伏線が回収されていく巻で、どんどん読み進めることができました。
逃げるミスター・グレイ。追うヘンリーとオーウェン。さらにそれを追うカーツ一行。ついにクライマックスが迫ってきます。さあ、次巻にGO!
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COMMENT
SF紹介 ―人間の手がまだ触れない―
『ドリーム・キャッチャー』は、映画を見たことがあります。キングにしては珍しい、本格侵略SFでしたね。
秋の夜長、いかがお過ごしでしょうか? 僕は疲れているにも関わらず、なかなか眠れない日が続きます。
今回はそんな夜に読み続けた一冊、ロバート・シェクリィの『人間の手がまだ触れない』をご紹介します。
宇宙飛行中のキャスカーとヘルマンは、大きな危機に直面していました。何の手違いか、船内に食料を積み損ねたのです。彼らは食料を求め、ある惑星に降り立ちます。
以前そこに住んでいた生物の倉庫を発見した二人は、早速中に入って、積んである物を物色しますが、どれが食べ物でどれがそうじゃないのか、まるで分かりません。二人はたまたま倉庫内に会った辞典を手がかりに、慎重に食料を探すのですが……?
シェクリィの短編集は『無限がいっぱい』に続いて、これが二冊目です。表現作の他にも、何にでも姿を変えられる宇宙生物の地球侵略を描いた『体形』、時空の『クレバス』に落ちた男の話『時間に挟まれた男』、開いたばかりの量販店にて盗みを働くコソドロの意外な正体を描いた『王様のご用命』、別世界の魔術師に召喚されてしまった保険屋の話『悪魔たち』など、13編の『人間の手がまだ触れ』たことのない摩訶不思議な物語が展開されます。
『不死~』などの長編もいいですが、やはりシェクリィは短編の方が向いているみたいですね。
ではまた。
Re:SF紹介 ―人間の手がまだ触れない―
『人間の手がまだ触れない』は読みました。http://pecosmile.blog.shinobi.jp/Entry/106/
自分としては、「儀式」が一番笑えたので好きでした。また、「あたたかい」という作品も、なんだか意味ありげで好きです。