遠未来の地球。人類はいずこへか消え失せ、代わりに住みついた異星生物が懸命に文明を再建しようとしていた。ロービーは人の心を音楽で奏でることができる不思議な青年。恋人の死を契機に旅に出た彼は古代のコンピュータ、ドラゴン使い、海から来た暗殺者など様々な存在との出会いを経て、世界の大いなる謎を解き明かしてゆく・・・・・・幾層ものメタファーやシンボルを重ねて華麗な神話宇宙を構築し、ネビュラ賞に輝く幻の名作
よくわからないけれど、面白い。
たぶん、何度も読み込めば読み込むほど面白い小説なんだろうと思います。首をひねりながら、同じところを何度も読み返したり、ふと気がついて背表紙のあらすじ紹介を見て、「ははあ、そういうストーリーなのだったか」とようやく理解したり、映画俳優等の個人名などあちらの文化的背景を辞書で調べたり、読者にも主体的な努力を強いる作品な気がします。
のっけから、人間の身体構造とはまったく別ものの主人公ロービーの登場でワクワク。さらには、「ロ」や「ラ」や「レ」の称号の話、恋人の死、地下のコンピュータとの会話、昔この惑星に住んでいた人類の話など怒涛の情報に頭は混乱状態。整然とした説明があるわけでもなく、いきなり作者の製作日記などが挿入された日には、こちらはもうお手上げ状態。さらにはいくつもの引用文によって、頭の中をさらに引っ掻き回される。
まるでサイケロックのような小説。
恋人を殺した犯人宿敵キッドを殺すため、村から旅に出たロービーを待ついくつものできごと。ドラゴン使いスパイダーやグリーン=アイ、ダヴとの出会い。
人類が紡ぎだしてきた夢――物語を新たな神話として再構築しようという作者の強い意志が伝わってくる。それは、作者の日記のはしばしに現れ、物語をさらに原始的なカオス状態に連れていこうとする。
こむずかしく考えながらも、素直に物語に身をゆだねること。これがこの小説の最良の読み方なんじゃないかとなんとなく思いました。時間がたったらもう一回チャレンジしてみよう。
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