凶暴な美しさを秘め、友愛を体現する唯一無二のヒロイン像と圧倒的なSF世界―1984年公開の映画『風の谷のナウシカ』は戦後のカルチャー史の中でも異彩を放つ作品だ。当時の制作現場の様子を伝える貴重なインタビューに加え、映画の魅力を立花隆、内田樹、満島ひかりら豪華執筆陣が読み解くジブリの教科書シリーズ第1弾。
ナウシカは漫画版のほうが好きです。
この本でも映画版・漫画版があると初めに断って、書いてらっしゃる方が多い。
立花隆さんは、宮崎駿監督を「国民作家」だと位置づけてらっしゃいますが、これだけ国民が共通して知っている作品群というのも稀でしょう。話題に困ったらジブリの作品について話をしてみればいいとおっしゃっています。
著作をよく読ませていただく内田樹さんは、映画版と漫画版の違いを、「なんかどろどろしたもの」の有無だと述べておられます。他の方々も同じようなことをおっしゃっているのですが、この言葉が一番しっくりときました。
椎名誠さんは、「地球終末もの」の類型を挙げながら、ナウシカはそのどれにも属していないとそのオリジナリティを評価していらっしゃいます。
僕は椎名さんのSF作品が好きで好きで、それに入れ込んで『地球の長い午後』なども読んだ口ですから、なんだか読んでいて嬉しかったです。
長沼毅さんの生態学の講義は、たいへん勉強になりました。
物語に登場する生物群に関して理解が進み、もう一度細部まで読み込んでみようという気になりました。
大塚英志さんの論考は、「活劇」と「映画」という視点から語られていて、またまた「なるほど!」と膝を叩くことが多かったです。
宮崎監督はカレンバックという方と対談もされていて、そこに紹介してあった『エコトピアレポート』という本が実に読みたくなりました。
とにかく、ナウシカという作品が、いかに重層的な深遠な作品なのかということがよくわかりました。
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