学生・社会人が毎週木曜日の発売を心待ちにする青年コミック誌「ヤングジャンプ」。二〇年前、ある少女の写真が表紙&巻頭を飾った号から同誌の驀進は始まった。本書は写真家、編集部、読者が一体になって生み出した、写真表現としては世界に類を見ない〈グラビア〉という文化を、アイドル論、出版文化史、メディア、写真表現など、様々な角度から考察。時代のミューズとなったアイドル たち、綾瀬はるか、相武紗季、鈴木亜美、市川由衣、夏菜ほか、読者が忘れられない約二〇〇点の貴重な写真も収録。(集英社新書:作品紹介より)
正直、ヤング漫画誌のグラビアページはとばしてました。
僕は「漫画読み」にならないといかん、と間違った漫画道を走っていたので、グラビアにうつつを抜かすのはけしからんと思っていたのです。そこに面白い世界があるとは知らずに。
この本を読み終えたとき、そう思いました。
はたして「グラビア」とはなんなのか?という定義づけから始まり、なぜ人はグラビアを見るのかという論考で終わる。
当然、そこには男の欲望というものが介在しているはずなのだけれども、なぜ、真に見たいものに一つの膜(水着であるとか制服であるとか普段着であるとか)がはられているのかと、今まで考えたこともなかったことが意識に現れてきて面白かった。
「少女の日常性をかきたてる写真」という箇所があったけれども、たしかに90年代前半、携帯もインターネットもそんなに普及していなかった時代、女の子と接点がなかった者たちにとっては、グラビアのページこそがその入り口になったであろうことは、同時代にいた僕にもありありとイメージできます。そうなんですね、単なる「エロス」では終わらない世界なんだよね。グラビアに関する「そうだったのか!」という目から鱗の落ちる本となっています。
そして、本書に収録されている200点という写真の数々も素晴らしい。
田中麗奈、有村架純、広末涼子、鈴木亜美などの素晴らしい被写体さんたちがたくさん。
目の保養にもなる、ためになる本でした。同じビジュアルブックで、金子達人『美女の一瞬』もおすすめです。
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