息子の守は、幼い従姉妹に「あもくん」と呼ばれている。キャンプに来たものの、乗り気でない私と守は二人で森を散策した。日が暮れ、疲れた守を背負ってキャンプ場に戻ると……。家族の日常に潜む異界を描く!
連作短編集で、シリーズものでありながら、この先どうなったのかわからない、というったものが多く、平然と次の話が始まります。そして、そのつながっていない最後の一コマの断ち切られた感じ、というのも一つの味となっていて、いいですね。
「ドアを閉める」は、閉めたドアの向こうになにかいた気がした・・・という日常に潜む恐怖を描いています。また「手形」なんかは、
僕の実家の玄関の天井にも誰かの足形があるので、実感のある恐怖として感じました。「帰り道」は自分の
目の端に人がいるような気がして・・・という諸星大二郎作品には繰り返し登場するモチーフです。
一番のお気に入りは、「啓蟄」。
蓑虫が首吊り死体に見える。カタツムリの殻から
人の手首が出ているように見える。蝶の羽が
人の耳のように見える。こう書くとつまらないですが、圧倒的なヴィジュアルの力にやられます。
雲が人の顔に見えたり、
自分の五感に対する不信感のようなものが作品全体にあふれている気がします。幽霊がハッキリと登場するよりこのようなもののほうが面白いし、怖いですよね。
久々に諸星大二郎の沼にどんどんとはまってきています。
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