地上げの脅威に晒される、四谷の孤児院「若葉ホーム」。肩を寄せ合って暮らす6人の少年たちの元に、ある時から“黄金の騎士団”と名乗る謎の人物名義の生活資金が届けられる。認知症で徘徊癖のある院長先生に代わって、目付け役になったホームのOB外堀公一は、“騎士団”の驚くべき正体を突き止める!?
とっても楽しい。
冒頭。語り手はワールドランド社の新入社員研修に出ている。島で行われる行軍・・・。
モーレツというかなんというか。会社第一主義で今ならブラック企業認定間違いなし。語り手外堀公一は早い段階でこの研修を抜け出し、会社を辞めますが、勤め続けていたら過酷そうな職場です。
孤児院の養父・養母が健康でなくなり、孤児六人のホームの後見役となった公一。彼も孤児であり、拾ったのは四谷新道通りの畳屋の若旦那で野球チームの捕手・・・。たぶん、「ナイン」を読んだことがある人は、これは
英夫くんなのでは・・・と思い浮かぶのではないでしょうか。おなじみの東京下町で地上げ屋との戦いか?と思いましたが、ほとんででてきませんね。ちょっと拍子抜け。
しかし、ホームに資金を届けてくれる謎の組織「黄金の騎士団」の登場。上巻の焦点はここにあてられています。子どもたちの利発さ(なにしろIQがものすごい子が三人もそろっているし)、自立心というものが心地よく、大人になった今でも人に頼りがちな僕は反省してしまいます。子どもたちが作った保険組合の説明も楽しく、黄金の騎士団の正体と共に、面白い経済小説となっています。後半、早老症の少年の話で物語に重みが加わり、先物取引の世界へいっきにストーリーは飛び込んでいきます。黄金の騎士団の活躍、次巻は如何に?
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