実は、早老症の天才少年を核とする少年だけの投資家集団だった“黄金の騎士団”。彼らの目的は、莫大な資金を元に、子どもが自治するユートピアをつくることだった。ところが、シカゴ市場で快進撃を続ける“騎士団”の前に、世界的な大財閥オッペンハイマー家の総帥が立ちはだかる。未完の痛快経済小説!
ただ子供が大人にも匹敵している能力を有しているだけではない。ただのお金もうけじゃない。
子どもの国の理想のため、黄金の騎士団は奇跡を起こす。スペインの
ベンポスタ、アメリカの「
少年の町」。子どもが食い扶持を自分で稼ぎ、教育を受けられるような施設をつくる。
そこに人種差別的な金稼ぎ集団のオッペンハイマーが政治家と結託し、子供たちの夢を潰そうとして、さまざまな介入をしてくる。
早老症の文夫の死。彼のトレンドグラフが株の動向を示しているところには、驚いたし、感動もしました。人が命を賭してなにかをやるときには、奇跡が起こると信じたい。
そして、一発逆転のパーティー計画。僕はこの小説を読んで初めて政治家のパーティーの構造がわかりました。一流の演出家と無名の若手を総動員して、政治家の不正を暴き出す計画が動き出したところで、作者の健康上の理由等もあって連載は中断。そのまま未完となってしまったようです。
それにも関わらず、この物語は美しいし、面白い。
子どもたちの大逆転が見られないのは残念ですが、やさしいエンターテイメントでした。
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