うーん、基本的には『SF魂』を読んだときに了解している事項が多かったので、二千五百円出して買うこともなかったか?という疑惑がわいてきました。
ただ、第二部を読むにあたってその考えは払拭されていきました。代表作に関してけっこう細かく語られているし、なによりインタビュアーが小松作品を理解した上、研究した上で質問しているので、深い部分にまで踏み込まれています。ただもう少し、ユーモアものに関して、紙幅を割いてほしかったです。でも、これは個人的な嗜好なので文句は言いますまい。
小松左京の思考実験性というか、思想性のよく表れた作品群について、少しでも理解できることができてよかったと思います。ただ、僕はまだ代表作の中でも読んでいない作品がたくさんあるので、この本に対する正しい評価が下せる立場にはありません。すべては小松左京全集を読み終えてから、この本を読み返した後にしなけりゃならんでしょう。ただ、あの全集値段が高いものなあ(泣)。
巻末には年表や代表作の梗概、索引がついていてお得。高橋和巳についてもかなり長い文章があり、「内向の世代」ときくと腰がひけてきてしまいますが、今度読んでみようかなあと思います。
SFに賭けた先駆者の熱い思いが伝わってくる一冊です。
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COMMENT
神保町SF巡り
今日、東京は神保町を練り歩き、ハヤカワSFを何冊か買いました。
掘り出し物は、R・シェクリィの『人間の手がまだ触れない』と『標的ナンバー10』、P・レスリーの『インベーダー④ 三葉虫の夜』、光瀬龍の『墓碑銘2007年』と『異境』です。
また、60年代のS‐Fマガジンも四冊入手しました。
ここに紹介されていた光瀬龍の『マグラ!』と、『星と砂』の掲載誌の他に、同じく光瀬龍の『シンシア遊水池2450年』と、平井和正の『サイボーグお鷹』の掲載誌を手に入れました。今読んでいるSFが終わったら、読んでみようと思います。
ではまた。
古書店めぐりに憧れます
『標的ナンバー10』は僕も気になっています。『マグラ!』はとても愉快なお話で、日本SF史上に残る?怪作だと思います。どこの出版社か忘れましたが、怪獣小説傑作選にも入っていて、しかも光瀬龍の『マグラ!』に関するエッセイも収録されているとのことなので、手に入れて読んでみたいと思っています。『マグラ!』は挿画にも心奪われるものがありました。
SF紹介 ―半数染色体―
一冊は河出文庫の『怪獣文学大全』という本です。実は僕は最初、その本で『マグラ!』を読みました。もう一冊は『大怪獣文学館』というエッセイ集で、『マグラ!』の解説と挿絵があります。
『マグラ!』は数ある光瀬作品の中でも、かなりの異色作だと思います。(光瀬氏は、怪獣映画は余り好きではないそうです)でもマグラの生物感は良く出ているし、電撃を防ぐため非伝導体のグライダーを使って攻撃するアイディアは面白いと思います。若しかすると光瀬作品中、一番の娯楽作かもしれませんね。
さて、今回のSF紹介はジェリー・ソールの『半数染色体』です。
主人公の事件記者トラビスは、入院している病院内で、一人の死に掛けた老人を殺そうとする少女と遭遇し、追い払います。しかし老人は全身真っ黒になって、死にました。その日以来、町のあちこちで人間が真っ黒になって死ぬ奇病が流行します。奇妙なことに、この病気は男性のみに感染し、女性の患者は一人も出ませんでした。独自の勘と情報網を使って調査を開始したトラビスは、事件の裏に恐るべき秘密結社の存在があることを知ります。
その組織は半数染色体―つまり父親なしに人工授精で生み出された、特殊な染色体22Ⅹを持つ女性だけで結成されており、男性のY染色体のみに影響する放射線をばら撒いて男を皆殺しにし、女性だけの新世界を作り出そうと言うのです! 最初に死んだ老人は、その組織の秘密を知っていたために狙われたのです。トラビスは病院で会った少女―半数染色体でありながら、組織の行動に疑問を持つベティとともに、組織に立ち向かうのでした!
これも一種のミュータントものと思われますが、今で言うクローン技術や遺伝子操作に通じるものがあります。サスペンス色も強く、ハラハラしながら読み終えました。
ではまた。
怪獣少年でした
僕は平成ゴジラを中学生まで見続け、旧ゴジラもけっこう見ているので、『怪獣文学大全』などはストライク・ゾーンだと思います。教えてくださってありがとうございます。
また『S-Fマガジン』も読み始めました。「それはちがうんじゃないか?」と思うことや賛同がありましたら教えてください。ではでは。