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SF読もうぜ(283) 『S-Fマガジン』1966年9月号

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1966年9月号


巻頭言

 
反粒子の対象性を否定する論文が出て、SFファンには明るいニュースなのだそうです。科学音痴の自分にはよくわからない。

野田宏一郎「SF実験室⑭SF科学発明縁起」

 
パルプマガジンの前身とも考えられているダイム・ノヴェルについて。ヴェルヌにも影響を与えたそうです。

安部公房「人間そっくり」前篇

 
感想はこちら。安部真知のイラストがいいです。

ロバート・シェクリイ「確率世界」

 もう幾度目の破産か。密航して元の星を逃れたエドガースンはある惑星に降り立った。そこでは、統計の確率が50%以上であれば、100%それが起こるというおかしな確率世界だった。

 シェクリイらしい洒落た短篇。女の子を口説くところが笑えました。最後の商人根性があらわれるところも教訓くさくなくていいです。

筒井康隆「馬の首風雲録」第一回

 
今、ヘミングウェイの『誰が為にに鐘は鳴る』を読んでいますが、農民の口調はたぶんここから影響を受けていると思われます。

大伴昌司「トータル・スコープ」

 フランソワ・トリュフォ監督で『華氏451度』撮影中。『サンダとガイラ』も撮影中です。サンダとガイラは小さな頃、怪獣事典で見て以来気になっています。

伊藤典夫「SFスキャナー」

 ネビュラ賞についての文章。長篇はDune。ショート・ストーリーは"Repent,Harlequin!" said the Ticketockmanで、「"悔い改めよ、アルルカン!とチクタクマンがいった」という風に訳されています。アルルカンは道化師だそうです。

石川喬司「SF DETECTOR」

 読みたいのはH・G・ウエルズ『世界史概観』、ジョン・ウインダム『さなぎ』です。

さいえんす・とぴっくす

 進む郵便局のオートメ化(日)。小学校の社会化見学で郵便番号で機械が振り分けることができるのをきいたときは、純粋に感動したものです。

星新一「壁の穴」

 ある日、部屋で拾ったナイフ。ためしに壁に突き立ててみると不思議に切れ味が鋭い。彼はそれで壁をくりぬいてしまうが・・・・・・。

 純粋なファンタジイ。違う次元を覗いてしまうという部分は面白かったけれど、ラストはあまり気に入らないなあ。少し長く感じてしまいました。

小原秀雄「SF人類動物学⑦人間の行動、動物の行動」

 人間の姿勢の基本形はチンパンジーやゴリラと一緒だった。人の腰が悪いのは無理して直立しているからだときいたことがありますが、僕も腰が悪いので猿を見習おうかなあ。逆にそれも腰に悪いか。

アーサー・C・クラーク「ゲーム・ハント」

 ハーリイ・パーヴィスだってときにはおとなしいときもある。今日の主役はヒンケルバーグ教授だ。

 白鹿亭のワン・エピソード。それにしてもクラークはこの生き物が好きだなあ。

ジャック・ヴァンス「竜を駆る種族」

 
感想はこちら。ギャラクシイとの特約です。この辺の経緯は文庫のほうにも書いてありました。

 総評:やっぱりベストは「竜を駆る種族」でしょう。しかし、「人間そっくり」、「馬の首風雲録」などレベルが高い号に思えました。「人気カウンター」順位は①フレデリック・ポール「黄金の時代」②百億の昼と千億の夜③フィリップ・E・ハイ「定期訓練」④アルジス・バドリス「夢の勝利」⑤ジェイムズ・E・ガン「食餌時間」次点「みんなボマーを愛してる」ですだ。僕が面白いと思った「世界の終わり」は入っていません。
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SF紹介 ―シンシア遊水池2450年―

  • by ヌル
  • 2008/04/12(Sat)22:56
  • Edit
今晩は、A・T様。
S‐Fマガジンの紹介、有難うございます。どうも昔のS‐Fマガジンは、R・シェクリィの短編が多いですね。福島氏はシェクリィ氏に、特別な思い入れがあるのでしょうか?

さて、今はこの前買ってきたS‐Fマガジンを読んでいる最中ですが、今回はその中の一編―光瀬龍の『シンシア遊水池2450年』をご紹介します。
主人公は、火星で働く審査官。ある日、冥王星で起きたサイボーグ殺害事件の犯人を探るよう命じられた彼は、早速現地へ飛びます。この時代、宇宙サイボーグの活躍で宇宙開発は大きく発展してきましたが、いつしか普通人とサイボーグの間には亀裂が走り、まさに一触即発の状態でした。犯人が普通人なのかサイボーグなのかがハッキリしなければ、この衝突は避けられません。
やがて、冥王星にて調査を終えた主人公はこの事件の背後に、普通人がサイボーグに抱く憎悪以上の、人間としての憎しみがあることを知ります・・・・・・。

これ以上書くとネタバレになるので、説明はここまで。それにしても光瀬作品に関わらず、当時の日本SFには、随分サイボーグをネタにした作品があることに、驚かされます。
ちなみに、サイボーグ(cyborg)とは、cybernetic organismの略称で、『人工頭脳学的有機体』という意味です。日本でこのSF単語を公に使用したのは、かの『サイボーグ009』で著名な、故・石ノ森章太郎だそうです。
因みに、石ノ森氏はサイボーグのことを、『改造人間』と呼んでいますが、僕は余りその呼び方は好きじゃありません。もっと古風に『半人間』、『半人造人間』と呼んでいます。
僕の好きなサイボーグ作品は、光瀬氏の『落陽2217年』と、平井氏の『サイボーグ・ブルース』。漫画では『サイボーグ009』に、手塚氏の『鉄腕アトム/ホットドック兵団の巻』がお気に入りです。

あと、これはちょっとした情報提供ですが、光瀬氏の『宇宙年代記』シリーズは、角川ハルキ文庫にて全二巻で発売されていますよ。本の題名は、『宇宙救助隊2180年』と『辺境5320年』です。興味があったら、是非どうぞ。
ではまた。

シェクリイ大好き

  • by A・T
  • 2008/04/16(Wed)10:50
  • Edit
 ロバート・シェクリイは『SFマガジン』創刊号の巻頭も飾りましたし、その作品に小松左京は衝撃を受けたといいます。都会的なセンスの発揮された作品が多くて僕も大好きです。初期の筒井康隆は「日本のロバート・シェクリイ」と呼ばれていましたし。

 僕の好きなサイボーグ作品は『攻殻機動隊』ですね。ちなみに僕は「改造人間」という言い方大好きなんです。禍々しくて、改造された側の悲哀が伝わってきていいじゃないですか。しかし、これは積極的サイボーグ化と消極的サイボーク化という二つの側面を考えなくてはなりませんが。

 年代史シリーズはまとめられているんですね。情報ありがとうございます。ハルキ文庫はかなりSFの作品がありますし、装丁も好きなので今度大型書店にいって見てみようと思います。ではでは。

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