野田宏一郎「SF実験室⑰SF骨董武具屋主人敬白」
様々なSF兵器の紹介。空飛ぶ丸ノコというのが豪快で好き。
◎
ウィリアム・モリスン「田舎医者」COUNTRY DOCTOR
疲れきって眠っていた田舎医者メルチャーのもとへ、保安官から緊急の電話がかかってきた。宙港で彼を待っていたのは、巨大生物の体内に潜行し治療を行うという厄介なものだった・・・・・・。
面白い。胎内めぐりというのは好きな物語テーマなのですが、暗い洞穴の中、器官の中を通り抜けるというのがなぜだか好きなんですよねえ。嫌々ながら、酸素を送る管一本で巨大生物の体内に行き、しかも病気を治すという任務。いろんなアイデアが絡み合って新鮮な世界でした。
○
ゴードン・R・ディクスン「モンキー・レンチ」MONKEY RENCH
山深い場所にある気性観測所に旧友を頼り出かけていった弁護士のケイリー。そこにはどうやっても動作を止めない完璧な電子頭脳がいた。彼はそれを止めて見せると豪語し・・・・・・。
オチが「こうかなあ?」と思っていた通りでした。それにこういうラストはあまり好きではない。
○
アーサー・ポージス「高価な獲物」PRICELESS POSSESION
真空に棲息し、とてつもなく長い時間をかけて成長する生物S2。その翼帆はすばらしい性能の布地になり、偶然にそれを発見したものは、億万長者になれる。彼らはそれを発見してしまった・・・・・・。
うーん、ビターテイスト。作者はロマンチストだと紹介文には書いてあるけど、ロマンチストはこういうラストにはしないと思う。ただし、空間で長い間育つ生物、それを見つけると億万長者っていうのはロマンチストだなあ、たしかに。
◎
ジェイムズ・E・ガン「あなたとならば何処までも」〈後篇〉WHEREVER YOU MAY BE
よかった!押しかけ女房的な作品ですが、最後には主人公が諸星あたるのような心境です。ただし、ESP能力がはんばじゃないアビィはラムちゃん以上に厄介な存在であることは間違いありません。すばらしいSFオカルトストーカーサイコホラーでした。
光瀬龍「SF作家の中共ルポ 中国一九六六年夏」
光瀬龍の中国旅行記。
伊藤典夫「SFスキャナー」
ジョン・ブラナー「時の作品」The Productions of Time、ポール・アンダースン「年を経た神々」The Ancient Godsの紹介。
石川喬司「SFでてくたあ」
ジョン・ウィンダムの「海竜めざめる」の紹介があります。これ読んでみたいんだよなあ。
さいえんす・とぴっくす
活躍する電子警察(米)の記事がいいです。データから犯罪発生前に現場に駆けつけるというお話。
石原藤夫「宇宙を渡る声 ③地球から月へ その2=月面の征服」
クラークの「渇きの海」の冒頭文から始まります。電離層の解説が楽しかった。
日下実男「うるとら世界周航記」
②ハワイ航路です。
大伴昌司「トータル・スコープ」
「空中スパイ野郎」の写真がとぼけていていい味。「大怪獣ガッパ」はなんか微妙そう。
△
レイ・ブラッドベリ「静寂」THE SILENCE
「われわれ」はソトンに人々が移住するのを黙って見つめていた。何世代も何世代も。それはいずれ彼等を大量虐殺するため・・・・・・。
オチが読めました。ぼくはなんかブラッドベリとは相性が悪い気がしてきました。
◎
コードウェイナー・スミス「報いなき栄光」SCANNERS LIVE IN VAIN
人類を宇宙の狂気から守る――その崇高な使命のため、自ら志願して肉体を機械に変えた彼らには、人間の心も残されていないのか?
サイボーグ技術の進んだ現状から考えるとやはり古くさい感は否めないのですが、人間ドラマとしての面白さがこの作品にはあるので面白いです。皮肉なラストがやはりいい。文庫のほうではたしか「スキャナーに栄光はない」という題でした。
筒井康隆「馬の首風雲録」
戦闘も佳境に入って参りました。
総評:九月号の人気カウンターは1竜を駆る種族2馬の首風雲録3人間そっくり4確率世界(シェクリイ)5壁の穴(星新一)でした。うーん、1位はまあ当確当然として、2位3位はちょっと意外でした。
ベストは「あなたとならば何処までも」〈後篇〉。ガンの作品とは相性がいいようです。
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COMMENT
行く年来る年
久々の更新ですね。SFマガジンの紹介、有難うございます。
今年は、いろいろな本を、何十冊も読めました。銀背もだいぶ集まってきて、今度は何を読もうか、迷っています(因みに今は、ブラッドベリの『華氏451度』を読んでいます)。
また、来年も、大好きなSFを語り合えれば良いですね。
それでは、良いお年をお迎え下さい。
Re:行く年来る年
>久々の更新ですね。SFマガジンの紹介、有難うございます。
>
>今年は、いろいろな本を、何十冊も読めました。銀背もだいぶ集まってきて、今度は何を読もうか、迷っています(因みに今は、ブラッドベリの『華氏451度』を読んでいます)。
>また、来年も、大好きなSFを語り合えれば良いですね。
>
>それでは、良いお年をお迎え下さい。
謹賀新年
今年も、宜しお願いします。
Re:謹賀新年
最近、書店でもどんどん駆逐されてしまっている感のあるSFですが、同好の士として本年も語り合いましょう。