◎
アーサー・C・クラーク『太陽系最後の日』
宇宙に対する責任を負っているアルヴェロンとその種族はある太陽系に発見された悲劇の人類の救出に向かっていた。地球にたどりついた彼らだが、地球上には生物は発見されなかった。人類は全て滅びてしまったのか?
やっぱり、面白い。
△
ウォード・ムーア『新ロト記』
終末の予感に、ジモン氏は家族を連れて、車で南へ向かっていた。しかし、道中、二人の息子と妻は知性のない文句ばかり。理解してくれるのは娘のエリカだけ・・・・・・。
いや、面白いのは面白いけどね。読んでるうちに気分が沈んできちゃうんですよ。結婚って怖いのお。「あとがき」で作者はC・L・ムーアって書いてあるけど?間違い?本編でも題名がただの『ロト』になってるけど。間違い?
○
ロバート・A・ハインライン『大当りの年』
統計学に魅せられた男ポティファー・ブリーンは、その統計の数字から、人類がレミングであることに気づいてしまう。
最初にヒロインが路上でストリップを始め、警官に逮捕されそうになったところを服装倒錯者に救われるという冒頭。うーん、素晴らしい出だし。最後の終末が訪れるあたりの静かな生活がいいですね。
○
リチャード・マティスン『終りの日』
人類最後の日はもう来る。乱交、殺戮の夜が明け、主人公は虚しさを覚えている。彼は母親に会いに、車を駆って、町を脱出する。
これも二度目だ。『ひる』と共に、河出のアンソロジーに収録されていた。しかし、やっぱり最後の場面がしみじみとしていい。
△
アルフレッド・コッペル『夏は終りぬ』
世界の終末の日が来る。わずかに札をもった人間だけがシェルターに入ることができる。主人公は昔、捨てた自分の二人の娘と妻のことを考えている。そこへ、二枚の札を現在の妻が、殺人を犯して奪ってきた・・・・・・・。
面白いけど、ケイの立場を考えると、ものすごくひどい話だ。この主人公には感情移入できないなあ。
◎
ロバート・シェクリイ『ひる』
エネルギーを栄養とする未知の生命体が現れた。土を吸収し、風を吸収し、雨を吸収し、「ひる」はどんどん大きくなる。ついに軍隊までが出動する騒ぎに発展するが・・・・・・。
面白い!二度目だけどやっぱり将軍の愚行に笑ってしまう。しかし、このラストは怖いですねえ。これが映画だったら『ひる2』とかできるんだろうけど。
◎
レックス・ジャコト『豚の飼育と交配について』
惑星上に二人しかいないと思っていた兄妹だったが、二十人にも及ぶグループが現れ、ロイは否応なしに、その団体に加わらなければいけなくなった。しかし、そこに男性はロイのほかにジョンとお爺さんの二人だけ。人類再建のため、ジョンは十七人の女性と結婚していた。ロイは道徳上の問題から、それに嫌悪を覚えているのだが・・・・・・。
こういう乾ききったニヒルな話は大好きです。もちろん、僕は現代人の考え方に基づいたロイに感情移入してしまうわけですが・・・・・・。公共性のために、人間性がある程度踏みにじられているわけですが、それを割り切って『豚の飼育と交配』と呼ぶこの作者の感覚が好きです。ただ、やっぱりある程度、読み進めるのに、心理的な抵抗はあります。
総評:やっぱり終末ものはいい。日本のもので、僕が好きなのは筒井康隆の『睡魔のいる夏』と大原まり子の『薄幸の町で』の二作です。あとはイロモノですが、『西城秀樹のおかげです』とか。
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