○
『すべての種類のイエス』
地球に着陸したエイリアンの巻き起こす騒動。
えーっと・・・・・・。うまいあらすじが説明できませんが、めちゃくちゃで面白いです。
○
『楽園の乳』
クロットに育てられたという噂のティーモー。彼は生まれ育った惑星「パラダイス」を楽園として思い描く。
なかなか面白い。異文化圏で育てられると異文化圏の美観がすりこまれるのです、というお話。解説読むと、ティプトリーの子ども時代のことを描いているかと想像します。
◎
『そしてわたしは失われた道をたどり、この場所を見いだした』
人文科学者として調査団に参加したエヴァン。彼はコンピュータの解析の結果より、人間の直感を重視しているのだが・・・・・・。
面白かった。こういう信じたもののために孤独を歩む主人公という物語は好きです。ラストの巨大建築物をよじ登る様子もなかなか好きですねえ。
◎
『エイン博士の最後の飛行』
学会へ向かうエイン博士は不自然なコースをとっていた・・・・・・。
短いけどなかなか心に染み入る話ですねえ。どこかで、破壊願望みたいなものを持っている僕にはなかなか共感できるお話です。
△
『アンバージャック』
アンバージャックとルーの物語。
えーっと、特に何も感じはしません。
○
『乙女に映しておぼろげに』
新聞でコラムを書いているモルドビーのオフィスに突然女の子が現われた。
くすくす笑ってしまう作品。『時計じかけのオレンジ』を観たあとなので、言葉遣いの面白さとか興味がわきました。
○
『接続された女』
醜女のP・バークは自殺をはかった。彼女のもとに訪れた人物は彼女を広告塔とするためにある手術を行うのだが・・・・・・。
サイバーパンクの先駆的な作品ということで読んでみました。うん、確かにサイバーパンクだ。接続されたバークと人形ともいうべきデルフィという女の乖離した精神だとか、確かに面白い。ただ、どうもそこまでたいした作品じゃないような気も。期待しすぎたか・・・・・・。
○
『恐竜の鼻は夜ひらく』
タイムマシンで過去に来ている科学者一行。しかし、過去にとどまるには莫大な金額がかかる。助成金を受け取るために彼らがとった行動とは・・・・・・?
バカですねえ。下ネタですよ。
△
『男たちの知らない女』
墜落した飛行機で浅瀬に取り残された四人の男女。うち二人は助けを呼びに浅瀬を歩いていくのだが・・・・・・。
解説では傑作と書かれていますが、僕はどうもダメでした。だいたい男の行動のとり方が理解できないし、あまりにも女の言動がありふれていて、「ハイハイ、わかったわかった」と流したい気分になってしまいました。
◎
『断層』
ショーダル人を傷つけてしまったミッチに下された罰は人類には思いもよらないものだった・・・・・・。
うーん、こういう局部的な時間ものは好きなんですよねえ。ラストも愛が感じられてよい。
☆
『愛はさだめ、さだめは死』
自らを支配する「さだめ」の喜びに打ち震え、恐れおののく生物の心情を描く。
素晴らしい。筒井康隆の『幻想の未来』を初めて読んだときと同じような、強烈な感動を覚えました。「さだめ」―――本能に抗う生物とその本能、生きることの成就に歓喜を覚えるラストが心に食い込んできます。素晴らしいよ!
○
『最後の午後に』
ミューシャはコロニーの存続に心を砕いていた。しかし、そこに押し寄せる巨大な生き物たち・・・・・・。
けっこう好きなのですが、最後の容赦なさにちょっと幻滅・・・・・・。この人は破滅願望が強いんですかねえ。
総評:やはりベストは表題作『愛はさだめ、さだめは死』。有名作『接続された女』はちょっと期待をかけすぎたのか、あまり心に響かず。まあ、翻訳の問題なのか、それとも原文がそうなのか、文章の理解に努力が必要でした。
とにかく、60年代以前のSFばかり読んでいるので、急に時代を飛び越してしまったためについていけない部分も多々ありました。それとも、同時代でもこの人はぶっ飛んでいたのでしょうか?とにかく、83年生まれの僕としては、70年代って、こういうサイケで官能的で脱タブー的な作品が熱狂を持って迎えられたのかな?という推測しかできません。アシモフ作品にどっぷり浸かっている今、例えて言えば明治文学からいきなり山田詠美に飛んだような気分がしています。はぁ~、すごいなあ。
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