かつてお笑い芸人江頭2:50はこう言い放ちました。
「1クールのレギュラーより1回の伝説なんだよ!」。話は変わりますが、少年ジャンプではレギュラーに定着できず、壮絶なラストを迎えて、伝説を残す作品がままあります。
「未完」の文字を残し終了した車田正実の『男坂』。さらに
「ネバーエンド」で終了した『サイレントナイト翔』。
「痛みを知らない子どもが嫌い。心を失くした大人が嫌い。優しい漫画が好き。バイバイ」と巻末コメントで言い残し、去っていった人もいます(後に戻ってきましたが、また十週で去りました)。しかし、この打ち切り、最終回という制度を裏をかいた形でギャグにし、伝説を残した人もいるのです。そう、我らがうすた京介です。
うすた京介は『セクシーコマンドー外伝 すごいよマサルさん』で、その溢れる才能を開花させました。その次の連載にあたるのが、この『武士沢レシーブ』です。
牛乳学園ヒーロー部の国本ちはるはある日、謎の男、武士沢光沢と出会います。ちはるとその兄うみはる、武士沢が犬先生を司令塔にゼリーと呼ばれる怪人と戦うというのがおおまかな流れです。しかし、この作品、二十話で打ち切りになってしまいました。
最終話で登場人物たちは我知らず不思議な言葉を口にしてしまいます。
「今週中にケリをつけなきゃいけないようなそんな気が・・・・・・」
「?」「な・・・なんすか それ?」
「おい!ダラダラすんなよ!さっさと歩け!今回やる事多いんだからな!」
「・・・・・・」「え?」「何?何なんだそれ?」「?なんだろう なんでそんなことしゃべったんだ オレ?」
「こんなペースでやってて足りるのか・・・・・・?」
「でも急いで何とかしなきゃ モタモタしてたらページおさまんないよ~」
「そうだな・・・・・・え?」「・・・・・・ん?」「ページ?」
「とてもじゃないけど最後まで描くのはムリなんじゃないかな?」「こうなったらナレーションとか入れて、省略していくしか手はないぞ!」「・・・・・・」(なに言ってんだ?オレたち・・・・・・?)
そして、
ナレーションが入り、物語は文字通り加速していきます。「この先は都合によりダイジェストでお送りします」とのテロップが流れ、
ダイジェストへ。さらに、「・・・もうダメだ ダイジェストでも語りつくせない こうなったら年表だ!」ということで
年表になってしまいました。しかも語呂合わせで覚えやすいようにしてありました。
たった3ページで18年が経過。そして打ち切りマンガというよりも、うすた漫画特有のグダグダ感溢れるラストで話は締めくくられます。
自らの状況を最大限に利用し、体を張って笑いをとり、少年ジャンプというシステムに対して茶々を入れたうすた京介はレギュラー定着はならなかったものの、伝説として人々の記憶に刻まれました。そして、次の連載となった『ぴゅーと吹くジャガー』は絶好調連載中です(時々、載ってないこともありますが)。うすた先生、伝説をありがとう。あなたはマンガ界の江頭2:50です(←間違い)。
PR
COMMENT