野田宏一郎『SF英雄群像最終回 現代の英雄たち ラインスター〝メド・シップ〟シリーズなどについて』
ラインスターはそれほど好みではないけど、紹介してある話は面白そうだなあ。いや、毎号面白そうなんですけど。
◎
アーサー・C・クラーク『寄生虫』
そいつは執拗だった。夜も昼も、決してテレパシーの目をはなさず、彼の挙動を見守るのだった!
短編集『明日にとどく』の中で、一番好きだった短篇。寄生虫は物語の登場人物と、読者の関係を暗示しているのではないかと思いました。
○
ウィリアム・モリスン『発送係』
彼は腹が空ききって、何でもいいから口に入れたかった。だから、そのくるみ様の木の実を見つけると考えるまえに飲み込んでしまったが・・・・・・
ちょっぴり面白かった。大食い大会に出場するところが、一番すきなシーン。
◎
エドモンド・ハミルトン『何が火星に?』
火星探検から戻った彼は人々の注視の的だった。「むこうはどうでした?」とみな聞いた。そして彼は答えるのだった・・・・・・
こういう諦観をもった語りというのが好きなんで。こういう人間の情感まで表現できている作品が好きなんですよねえ。報道と現実のギャップというようなお話も好きですし。好みのお話でした。
△
リチャード・ゲーマン『機械』
その機械が何をするかも知らぬまま、ボタンを押しダイヤルを回し、注油する日々がもう長いこと続いていた・・・・・・
うーん。ふつう。特にどうこうする話でもないしなあ。
○
ロバート・シェクリイ『ラクシャの鍵』
AAAエース星間浄化サービス社は奇妙な物を手に入れた。メルジ星人の無料生産機―――なんでもただで生産する機械である!
なかなか面白かった。ひたすら物を吐き出し続ける機械、そして最後のオチもくすりとできていいです。
○
星新一『歴史の論文』
医者のエヌ博士は催眠術を用いて、過去の偉人を呼び出し、歴史書を書くことを思いついた。
こういう精神病というものに、この頃の人はけっこう興味を覚えているようで、こういったお話は多いですねえ。
伊藤典夫『SFスキャナー』
SFのイラストについて。僕は見た中ではエド・エムシュが一番好きです。
さいえんす・とぴっくす
浮かぶ人工島 英国石油が人工島計画を発表。今では普通にありますねえ。アルマゲドンの主人公が勤めているのがそんな島じゃなかったかな?
ブラッドベリ・インタヴュウ
SFは自由な形式だ!というのが印象的です。そして、感情を第一の思考、理性を第二の思考としている。これはブラッドベリの小説そのものを表していて興味深いものがあります。
草下英明『SF宇宙生物学講座 宇宙は生命に満ちている』
ファースト・コンタクトのお話。
筒井康隆『SF作家の精神病院ルポ―おのれに背かぬ人々―』
ケタケタ笑ってしまいました。これは実際にあったことだとおっしゃるんですが、文章が面白すぎるためにいまいち信じられません。どこまでが、本当なんだろう。巻頭の言でF氏がSF作家は精神分裂症患者ではないというようなことをおっしゃっていますが、これにリンクしているのでしょうなあ。
大伴昌司『トータル・スコープ』
新形式の映画やテレビ映画の紹介など。『遊星よりの物体X』などが紹介されています。
SF DETECTOR
ディック『高い城の男』等の紹介。『高い城の男』は中学生の時に読んで、内容は覚えていないが、面白かったという感動の覚えだけが残っている作品。
△
デーモン・ナイト『楽園への切符』
世界中が、狂人にみちていた。彼はただ一人の正気の人間だった!
わからなかった。半分眠りながら読んだので。うーん?
○
筒井康隆『うるさがた』
もしあなたが、完全自動の宇宙ステーションに、うるさがたのロボットと二人きりとじこめられたら?
非常に面白いんだけど、筒井さんの執拗な描きこみにイラッとするときがあったので○。やはり、僕も現代の切れやすい若者の一人ということか。ただ、繰り出されるギャグには笑いました。たぶん、僕の評点では筒井さんのものはほとんど◎か☆になるので、差異をつけるために、特別に厳しくつけます。って、何様だ。
小松左京『果しなき流れの果に』
とばしました。
総評:ベストは『何が火星に?』でしょうか。いや、やっぱり『SF作家の精神病院ルポ』です。面白すぎます。『寄生虫』『うるさがた』も非常に面白い。
人気カウンター①終りなき午後②栄光の方へ③果しなき流れの果に④ソラリスの陽のもとに⑤時間は踊る 『終りなき午後』は当然一位でしょうが、ブラウンの作品には?マーク。
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