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SF読もうぜ(227) ジョン・クリストファー『トリポッド 4 凱歌』

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トリポッド4


 異星人の都市からぼくが持ち帰ったデータをもとに、大急ぎで対応策が立案された。宇宙のかなたの主人たちの母星から、まもなく大型船が到来する。その船には、主人たちが呼吸できるように地球の空気を変える機械がつまれているのだ。それが動きだせば、地球上のすべての生き物が絶滅してしまう。この怖るべき計画を阻止するため、異星人の三つの都市を同時に攻撃すべく遠征隊が出発した!〈トリポッド四部作〉堂々完結。

 楽しかったです。

 同士集めに遠征に出かける様子とかがよかったですね。イスラム圏の国では、聖廟を利用してトリポッドが神と化しているところなどが興味深く読みました。まあ、主人公がヨーロッパの登場人物であるせいでしょうが、アジアの話はほとんど出ないのがさみしいのですが・・・・・・。まあ、ヨーロッパ人から見ればアジアなんて未開の民族なんでしょうよ・・・・・・とアジアの住民として、オリエンタリズムを感じてしまうのでした。

 トリポッドの弱点はお酒でした。僕もお酒には弱いので、トリポッドに同情します。ぐしゃりと潰れる黄金都市の様子は、壮観なイメージです。気球での空爆作戦なんかも、少しドキドキしながら読みました。途中でトリポッドが襲ってきたときには、もうダメかと思いました。でも、ヘンリーが自分の命と引き換えにドームを破壊しました。彼の死は悲しかった・・・・・・。命を賭して皆の生命を救おうとする人の話には、いつも涙ぐんでしまいます。

 人類はトリポッドに勝利いたしました。しかし、そこには人類自身の不調和という敵が立ちはだかります。国と国の争い、民族間の争いはこれからも続くだろう・・・・・・。でも、それに対して三人であるけれど、無力かもしれないけれど、挑んでいく三人の決意。世界平和を実現すべく死んでいったヘンリーのために、彼らはこれからも頑張ることでしょう。そして、広島、長崎の原爆記念日を迎え、終戦記念日を間近に控える今日、現実世界の僕もまた、核兵器廃絶、戦争のない世界のために、この世界の一員としてできることはないだろうかと考えるのでした。

 子どもの頃の、理想の世界を目指す姿勢がよみがえってくるジュブナイルでした。
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