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SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。

モラトリアム

   

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SF⑫『SFマガジン』1960年9月号 タイム・トラベル特集



1960年9月号


モーリイ・ラインスター『考える葦』

 宇宙を旅していたコペルニクス号は何者かの仕掛けた爆弾によって、近くの星に不時着した。生き残った人々を待っていたのは、意志を持つ不思議な植物の群れだった・・・・・・。

 こういう生きている○○ものが好きです。原題は『The Plants』なので、ただの「植物」ですから、邦題は的外れなような気も。サバイバルするために、植物たちが持っている能力が面白くてよかったです。

ディヴィット・グリネル『作意』

 自分の書いた小説が、出版社へ原稿を送る前に出版されてしまう!そこで、主人公が考え出した手とは・・・・・・。

 SS。けっこう意外性があって楽しい。

アイザック・アシモフ『時間のメートル法』

 宇宙の天体ではそれぞれ一日の経過時間が違うので、標準時と地方遊星時ができてしまう。しかし、太陽暦や太陰暦は実は欠点だらけの代物なのである・・・・・・。筒井康隆の『脱走と追跡のサンバ』でも触れられていた問題ですが、やはり、感覚的には太陽暦や時間の流れ方が普通だと思っていても、厳密に見てみれば何かが狂っている、というのは面白い事実だと思う。そこで、アシモフは時間のメートル法、十進法を使った時間の数え方を提案している(これは天文学ですでに使われているそうだ)。確かに、こちらの方が計算は楽だ。

星新一『To Build,Or Not To Build』

 ウォルサムはタイムマシンを発明した。途端に彼の命を狙う人物が現れるが、その人物を後ろから殴り殺した男がいた。そいつは、ウォルサム自身だった。

 面白いけど、既視感が・・・・・・。どこかで、読んだことがあるのかも。ただ、ショートショートがやっぱり星新一の真骨頂だと思う。

都筑道夫『わからないaとわからないb』

 和地信彦は友人の和地恭一郎の発明したタイムマシンに乗り、過去へと戻り、親を殺すことをもくろむのだが・・・・・・。

 微妙・・・・・・ですね。途中でフレドリク・ブラウンとベスターの時間理論が使われていて、親殺しをすると自分(息子)の存在はなくなるというのがブラウンでなくならないというのがベスターである、といっています。そして、物語はその中間をとったようなオチになるのですが・・・・・・。うーん、説得力まったくないですね。

ウィリアム・テン『生きている家』

 マーキスは婚約者との愛を営むべき土地へ、友人の微生物学者と来ていた。しかし、そこにはあるはずのない家が建っていた。

 一見ペットみたいなのですが、実は人間に恐ろしい作用を及ぼす家。マーキスとエスターは結局幸福なのだろうか?幸福なのだろうが、それは真の幸福といえるのだろうか、としばし考えてしまいます。

S・Fらいぶらりい

 ロバート・A・ハインライン『メトセラの子』の紹介の続き。

日下実男『地球物語』

 氷河期の解説。その中の一説が面白い。彗星の破片がたくさん降ってくることによって、温室効果が破られ、地球の温度が一気に下がる。壮大な風景でしょうねー。

さいえんす・とぴっくす

 カスピ海の水が減ってきたので、人工湖を作って、カスピ海の水位を上げる計画があるという。ソ連はやっぱりすごいなあ。

チャド・オリヴァー『さし替え記事』

 ダドソン家に届けられている新聞の一面が、なぜか彼の家のものだけ、通常配られているものと違うのだ。ロマンチストなダドソンは懸命にその記事を読み込んで、それを行ったものをついに突き止めるのだが・・・・・・。

 発端の奇妙なできごとが、面白いですね。やはり、脱日常というのがSFの醍醐味だと思うので。ダドソンの探偵行為の熱の入れようも僕にはとても理解できます。ラストの奥さんの貞淑さを知ることと、それから、自分が特別な存在であったという発見も僕の快指数が上がって、いいラストでした。

岡俊雄『SF映画展望⑧SF怪物団 ゲテモノSFと恐怖映画の立役者』

 怖い写真がいっぱいあって壮観。

チャールズ・ボモント『消えたアメリカ人』

 仕事が終わった後、ミンチェルは自分が他の誰からも見えないことに気づいた・・・・・・。

 暗い・・・・・・。あまり好きになれない話だなあ。存在の希薄さが、身体に表れるという物語。漫画だとよくあるけどね。

ポール・アンダースン『タイム・パトロール』

 エバラードはある会社の面接を受けた。見たこともないような機械で身体や心理の記録をとられた彼は、その会社に採用される。しかし、その会社の真の姿は「タイム・パトロール」だった。

 なんだか、終わり方が釈然としないんだよなあ。時間ものを読むといつもそうだけど。過去に行った瞬間にすべては作り変えられるから、現代の変化は誰も気づかないというラファティの小説にあったような、究極的な話が一番説得力があって好きなので。これは、あれですね。「ドラえもんはなぜタイム・パトロールに逮捕されないのか?」という恒久的な疑問と一緒のようなものかもしれません。

原田三夫『21世紀の宇宙植民地』

 パルス・ロケットの理論だとか面白いです。地球上の六分の一しか重力がないので、身長が低い人はある程度、身長が伸びたら地球へ帰ればいいというのが一番好き。簡単な「超・身長法」です。ただ、骨がスカスカになる恐れもあるだろうけど。

SF事典(5)

 タイム・マシン(時間旅行機、航時機)、パラレル・ワールド(異次元の世界、あるいは多元宇宙と訳される。ほかにalternate world,simultaneous world.coexistent worldという言葉があるそうだ)、センシャント(sentient。感覚のある植物のこと)、ギズモ(新しい、特別の考案、またはその道具。また、一見しただけではわからない機械や道具、人をいうのにも使う。転じて、正体不明の怪物)。
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