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SF読もうぜ(231) ジョージ・R・R・マーティン『タフの方舟』

img174.jpg 付近の惑星に周期的に災厄を撒き散らす謎の星、〈禍つ星〉。そこに赴けば、誰もが巨万の富と絶対的な力を手にできるという。その秘密を追う学者に雇われた宇宙商人ハイランド・タフは、サイバー技術者、用心棒ら、いずれ劣らぬ曲者の五人と現地へ向かう。だが、彼らを待ちうけていたのは、超巨大宇宙船〈方舟〉号からの思いもよらぬ攻撃だった!表題作ほか、宇宙一あこぎな商人タフの冒険を描く連作集、待望の第一集!

「禍つ星」

 当初は研究目的で調査していた惑星が、実は大昔の超技術を備えた宇宙船であることがわかった。セリス・ワーン以下五人は、商人ハヴィランド・タフを雇い、〈良い品をお安くお分けする豊穣の角〉号に乗り込み、〈禍つ星〉へと向かった。

 千年前から見棄てられた宇宙船、しかも、それがあらゆる生物兵器を積み込んだ武装船とあれば、ワクワクするのは必至。恐竜は登場するは、吸血ヒルは登場するは、ヴォークトみたいな展開で楽しいじゃありませんか!タフの慇懃無礼なキャラクターもいいし、物語にのめりこむことができました。あからさまに伏線張っていたのに気づかなかったラストは鮮やかで、逆に悔しい。

『パンと魚』

 
ス=ウスラムのポートマスターであるトリー・ミューンは全長三十キロもの宇宙船が入港したとの知らせを聞いて驚いた。その宇宙船をタフの手から買い取ることが星政府の至上命題となるが・・・・・・。

 タフとトリー・ミューンの取引の駆け引きが見もの。愚鈍のように見えながら、最後には必ずいいとこどりして逃げるタフ。紹介文の「あこぎ」は間違った紹介だと思うけど、「やり手」なのは確かなよう。トリー・ミューンが猫にメロメロになってしまう様子がちょっとおかしかったです。ウスラムは日本のようですねえ。食糧自給率をもちょっと上げなきゃねえ。

『守護者』

 
〈六世界バイオ農業エキスポ〉を訪ねたハヴィランド・タフは、おおいに失望した。そこには見るべきものがなにもなかったのだ。しかし、彼は一国がこのエキスポに出展していない原因を聞きつけ、その惑星ナモールを訪れる。そして、彼は海から発生する怪物どもの退治を行うことになった。

 超能力を使う猫というのはコードウェイナー・スミスの影響でしょうか。ピンライターと猫の関係らしきものを書いている文章があります。猫はやっぱり可愛いんだねえ。犬派の僕ですが、猫も大好きです。犬はSFでよく喋るけど、猫はあんまり喋りませんよね?なに考えてるかわかんないところが、神秘的な猫の魅力ですものね。喋れたとしても生意気な場合が多いですね。あの独立的なところも猫の魅力でしょうか。犬は基本的に従属しているところを可愛がるもんだから、喋っても支障ないのかな?
 ナモールの生物では〈風船爆弾〉の様子が楽しかった。あと知性生物の正体が面白かったです。貝のように押し黙っていたのですね。

 総評:『サンドキングズ』収録の「龍と十字架の道」にしびれて、これは絶対に面白いはずだ!と二冊ともブック・オフで100円で売ってあったタフの方舟シリーズに手をつけました。これが面白い!最近、頭が長編型になっていたのですが、連作短篇も久しぶりに読むといいですねー。さっそく、残り一冊のページをめくりたいと思います。
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