世界初の、SFミステリとファンタジーを題材にした書き下ろしホームズ・パロディ短篇集。
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ジョージ・アレック・エフィンジャー『マスグレーヴの手記』
ホームズが学生時代に手がけた事件をマスグレーヴが描く。ある日、ホームズのもとに中国人の依頼人がやってきた。
うーん、やはり語り手はワトスンが好き。
○
マーク・ボーン『探偵の微笑み事件』
ある日、ベーカー街221Bに女性が訪ねてきて、トランプカードを持ってきた。
ホームズ・パスティーシュにつきものの、同時代の有名人に関連づける物語。日本ものでは夏目漱石と会わせるのが多いですが。
○
ウィリアム・バートン&マイケル・カポビアンコ『ロシアの墓標』
サセックスにいたホームズのもとから、ワトスンのもとに手紙が届いた。彼らはロシアへでかけるのだが・・・・・・。
おお、SFだ。あの人物との対決。けっこうワクワクした。
○
ヴォンダ・N・マッキンタイア『“畑のステンシル模様”事件』
コナン・ドイルがある事件の依頼に、ベーカー街にやってきた。彼が土地を貸している畑の作物が薙ぎ倒され、不思議な模様ができているというのだが・・・・・・。
うーん、なかなか面白い。ただ、僕は幼い頃夢中になったはやみねかおるの名探偵夢水清志郎事件ノートの『亡霊は夜歩く』を思い出してしまいました。すごく似てる。
○
ローラ・レズニック『行方不明の棺』
ベーカー街221Bを吸血鬼が訪ねてきた。
ちょっと笑いました。そういや吸血鬼という作品も本家にはありますね。
○
マーク・アーロンソン『第二のスカーフ』
ベーカー街221Bを宇宙人が訪ねてきた。ホームズとワトスンは宇宙船に乗せられ、事件の起きた現場へ向かう。
SFだあ。ただ、事件と解決自体はたいしたことないかも。
○
フランク・M・ロビンスン『バーバリー・コーストの幽霊』
マイクロフトから、「あの女」の妹の行方を捜索してくれという依頼がきて、ホームズとワトソンはアメリカへ行くのだが・・・・・・。
うーん、これが一番ホームズものっていう感じはしましたがね。あまり、ぶっ飛んでなくて残念かなあ。
○
ブライアン・M・トムセン『ネズミと名探偵』
シャーロック・ホームズから依頼を受け、探偵の通称「ネズミ」は、降霊界に出かけたワトソン博士を見張ることとなる。
ハードボイルド調。耳の遠くなっているワトソンがなんだか哀れな感じがして、そこまで楽しめなかったなあ。
○
ディーン・ウェズレイ・スミス『運命の分かれ道』
未来からやってきた科学者二人組が「沈むはずのタイタニックが沈まなかった原因を推理してくれ」と依頼にやってきた。ホームズはタイムマシンを使って、タイタニックに乗り込み、氷山にぶつかる寸前にやってくるのだが・・・・・・。
時間もの。ラストがいい。題通り、SF大冒険っぽい内容で、ちょっと嬉しい。
◎
ジョン・デチャンシー『リッチモンドの謎』
友人が失踪したので捜索してほしいという依頼が舞い込んだ。ホームズはどうやら失踪した人物と知り合いらしいのだが・・・・・・。
いい!×・×・××××の『××××××』とのコラボレーション。問題の作品は大好きで繰り返し読んでいるので、とても楽しめました。
○
リーア・A・ゼルデス『サセックスの研究』
引退してサセックスで養蜂を営んでいるホームズから手紙が来て、ワトスンはそこへ向かう。そこで見たのは腕を針穴だらけにしているホームズの姿だった。しかし、コカインの注射針の痕ではなく・・・・・・。
これまで読んだ中では一番アホな作品。そこがよかった。
総評:うーん、題はちょっと誇大広告って感じですね。これまで、読んだ感じだと。しかし、これまでは「過去のホームズ」だそうですから、これからはもっとアホな話が読めると期待してますぞ。ホームズ全集や研究本をよく読んだのは小中学校のことなので、ちょっと忘れていることが多くて、本家も読み直してみようかなあという気分になりました。『リッチモンドの謎』はSFファンにオススメです。
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