○
『光りあれ』
美人でおまけに四つの学位を持つM・L・マーチンは、ホタルが光を発する工程と同じことを実験室で再現することに成功した。彼女はある工場の研究機関にそのことを持ち込み、実用的なものが開発できないかどうか相談する。その結果、出来上がったのは既存の産業界から付けねらわれるハメになるほど画期的な発明だった。
なんだか、理屈はよくわからんが、すごい装置だってことはわかりました。けっこう面白いけど、それだけの作品のような気も。
○
『道路を止めてはならない』
高速でそれ自体が動いている道路。いまや合衆国は道路なしにはたちゆかないのだ。ところが、それが今止められようとしていた。
なんだか古臭い印象ですが。しかし、道路が止まったせいで起こる事故が不謹慎ながらも面白かった。日本なら責任者は辞職か免職のような気が。
◎
『月を売った男』
実業家のD・D・ハリマンはひとつの賭けにでようとしていた。彼は全財産を賭けて月を商売にしようとしていたのだ!
めっちゃ、面白いです。もちろん、現実には国家が月に到達したのですが、こういう形態もありえたのかと、別の次元の物語に思いをはせてしまいます。いずれ、月に国家が建設された時、こういう形で不動産を分譲してくれるのでしょうか?国際宇宙ステーションの完成が待たれます。
☆
『鎮魂曲』
莫大な財産を所有するハリマンは周囲の反対を押し切って、資産の売却を進めていた。それは、昔から憧れていた宇宙へ飛び出すため・・・・・・。
続編であるなんて知らなかった・・・・・・・。『月を売った男』を読んでから、改めて読むと感慨もまたひとしお。
○
『生命線』
ある科学者が人の死亡する日付を予言できる装置を発明した・・・・・・。
面白い話です。なんだか、悪者にされている発明者に感情移入してしまいました。最後に科学者連中がこっぴどい目にあうかと思ったけど、それがなくて残念。
総評:『月を売った男』という題名がいいですねえ。やっぱり、表題作のシリーズが一番楽しい。最初の二作品はなにか時代遅れという感じがしなくもないです。未来史といっても、相互に関係してくるわけでもないし、そういう点では人類補完機構や、ハイニッシュユニバースを読んだ後では物足りないかなあ。でも、各短篇としての出来具合は一級品です。他の作品も読んでみようと思います。
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