「無窮全能資格」優等免状をもった二人のロボット宙道士が主人公のユーモア連作短編集。
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『哲人『広袤大師』の罠 ―第一の旅―』
二つの国家のある惑星にたどりついたトルルとクラパウチュス。彼らはそれぞれの国家の王のもとへ行き、新兵器の開発を頼まれるが、彼らにはある秘法があった。
わはははは。宇宙のやじさんきたさんです。途中から集団思考に入る軍隊の牧歌的な光景に大笑い。やっぱり、ある程度知識を得ちゃうと、自然と嫌戦的になっちゃいますよね。
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『詩人『白楽電』の絶唱 ―番外の旅―』
トルルはサイバネティクスを駆使し、詩を創り出す機会を作るが・・・・・・。
ひひひ。難題を見事に解決していく白楽電が素晴らしく、悲嘆にくれる詩人たちの光景が笑えます。
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『獣王『残忍帝』の誘拐 ―第二の旅―』
騙されて残忍帝のもとへ連れてこられた宙道士二人。残忍帝の狩猟する猛獣をサイバネティクス技術で作れと無理難題をふっかけられるのだが・・・・・・。
残忍帝に捕らえられてから、機械を作っていく過程が面白い。特にスパイどもをバカにするそのやり方が最高。そして、最後に機械がやらかす行動も愉快愉快。
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『竜の存在確率論 ―第三の旅―』
通説には存在しないはずになっているはずの竜。しかし、局所的に確率を高めることによって、流は非存在から、存在するものへ変化するのだ。二人は竜を退治するために、それぞれ旅立つのだが・・・・・・。
でたらめの竜に関する理論が笑えます。もう、でたらめ、むちゃくちゃ。竜退治のために、出される兵器の数々もハッタリがきいてて楽しい!
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『汎極王子の恋路 ―第四の旅―』
恋の病に陥った汎極王子を救ってほしいと依頼を受けたトルルだが・・・・・・。
途中に出てくる脱恋装置がいい。しかし、王子の愛はホンモノだ!ただ、最後の方がちょっと意味が・・・・・・?
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『舞踊王の戯れ ―第五の旅―』
遊びの好きな舞踊王のかくれんぼのために、人格を交換する機械を王に提供するのだが・・・・・・。
うーん、王の自分勝手さにカチンとくるなあ。まあ、その報いを受けるわけですが。しかし、変な話が多くて嬉しい。
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『コンサルタント・トルルの腕前 ―番外の旅―』
鋼眼機族を悩ませる変なものを取り除くため、トルルは一計を案じる。
うーん、正直とらえどころのない話なんだけど、後半のトルルの行動はなんだか楽しいなあ。
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『盗賊『馬面』氏の高望み ―第六の旅―』
ある本に影響を受けて、棲槍圏まで旅行にでかけた二人。そこに待ち受けていたのは知識欲に燃える盗賊だった。
またまた変な装置が登場。しかし、電子の偶然の配列を読み取る装置って、意味がわからんけど、すごいなあ。
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『トルルの完全犯罪 ―第七の旅―』
ある星を追放された放逐王にトルルはあるものを与えるのだが・・・・・・。
極小宇宙もの。なんだかドラえもんにこういう話があったような。まあ、よくある話ではあるのですが、レムの知性というか、そんなものが話を別の次元にしている。錯覚かもしれませんが、そう感じます。
総評:宇宙を舞台にした昔話みたいなもんでしょうか。神話ですね。しかし、どの話も笑えて、作者の確かな技量に眼を瞠ります。しかし、これ訳すの大変だったでしょうねえ。原題は『CYBERIADA』。読めもしません。なんて読むの?
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