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『黄色い金管楽器の調べ』
貧しさに耐えながらも闘牛士の道を目指していたフアニートは興行主の目に留まる。
闘牛士のお話。それなりに面白い。
○
『古典的な事件』
友人であり、かつての思い人であった婦人から、これも幼なじみである彼女の夫が浮気しているのではないかという相談が舞い込む。そこで、「わたし」は問題の現場である駐車場へいってみるのだが・・・・・・。
デューセンバーグについては景山民夫の冒険小説で読んだことあるんで興味深く読みました。けっこう、面白い。
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『越してきた夫婦』
引っ越した先の家で、近隣の人々は優しくしてくれているようだった。ところが、パーティーの最中、一人の男に呼び止められて・・・・・・。
うーん。あまり、好みの話ではないなあ。最後のほうの緊迫感は好きですが。
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『鹿狩り』
上司に誘われて鹿狩りに来たネイサン。しかし、なかなか獲物がかからなくて・・・・・・。
なんだか、くらーい気分になってくる。
○
『魔術師』
老人マイカ・ジャクスンは、一晩にして「魔術師」シルク博士に変身する。そのマジックショーの合間、彼は本物の魔術師のように人々に畏怖されるのだ。
うーん。面白いですけどねー。なんか、どの話も中途半端だなあ。
◎
『お父さん、なつかしいお父さん』
「もしも、過去に遡って、自分の父親を殺したとしたら・・・・・・」。そんな考えに取り付かれたポレット氏はタイムマシンを発明し、父親を自らの手で射殺するのだが・・・・・・。
ようやくSFです。このオチには笑いました。
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『夢と偶然と』
精神病医のもとを訪れたホール。彼はその病状を医者に語り始めるが・・・・・・。
うーん?ラストがいまいち把握しきれなかった。途中はまあ面白いといえないこともないけど・・・・・・。
○
『淑女のための唄』
旅行協会の言葉に反発を感じ、その船のチケットを買った二人。しかし、その船には老人しか乗っていなかった・・・・・・。
ちょっと、しみじみとしたいい話かと思いきや。最後の唐突な展開に、少しぽかんとしてしまいました。
◎
『引金』
同じクラブの人間が八ヶ月間に四人も自殺した。警察は他殺だと信じ、アイブズという人物に調査を依頼するのだが。
うん、ありがちな話とはいえ、やはり面白いです。完全犯罪なんだけど、その天誅はやっぱり下る、と。
○
&チャド・オリヴァー『かりそめの客』
失脚したいがために、莫大な費用を使って、実現しそうもない精神力を用いた宇宙船の開発を行った政府。そして、その発進の日がきた。
ここまでSF含有率が低いと、SF語を見ただけで楽しくなっちゃいます。空腹は一番の調味料ってやつですか?
◎
『性愛教授』
「女房が不感症なのです」。ある日、現れた青年のために、自らの体験をもとに、女性を天国へと導く技法を教え込む「性愛教授」。ところがいっこうに効果は表れず、教授は自ら乗り出すことに。
すみません、下ネタが好きなんです。最後のオチにも笑いますが、中途の大仰なテクニックの呼称にもニヤニヤしてしまいます。これは昨日のシェクリイの『愛の語学』にも同様のものがありましたが。
○
『人里離れた死』
かつては栄光のレーサーだった主人公。今は田舎でのレースの賞金でなんとか食いつないでいる。そして、今日もそんな田舎のレースに出場するのだった。
うーん、それなりに面白い。でもそれ以上でも、それ以下でもないですが。
○
『隣人たち』
越してきた町で、黒人であることを理由に嫌がらせが続く。マイルズは拳銃を握り締め、子供と妻を兄に預ける決心をした。
いい話。腐った蜜柑の話ですかな。
○
『叫ぶ男』
病に倒れ、助けられた修道院にて、どこからか叫び声が聞えてくる。修道僧は「そんな声は聞えない」と言い張るのだが・・・・・・。
修道院とか、僧坊とか、こういう雰囲気の物語は好きですねー。ドイツといえばこのオチしかありません。
◎
『夜の旅』
デイビット・グリーンという青年がバンドに加わった。彼のおかげで、バンドは大成功を収める。ところが・・・・・・。
こういうお話、好きなんですよねえ。芸術というのに一種の神秘性を付加した考えっていうのは、僕ももっていますから。人生の敗残者・・・・・・。ジャズといい、ロックといい、伝説というのも多いですからねえ。
総評:うーん、一言で印象を表すと「微妙」ってとこですかねえ。別にジャンルに拘泥するわけではないですが、SF少ないのが僕の嗜好に合わなかったのか、期待に沿わなかったのか・・・・・・。バラエティに富んだといってもいいけど、ジャンルが散逸しすぎていて、この人の色ってものがてんでに分からないですね。まったくまとまった印象が残らないデス。
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