決して砕けず傷もつかず,しかも同一人の筆跡で過去何世紀にも日付のさかのぼる奇妙な日記――今はおちぶれた元秘密情報部員で元私立探偵のレジョンが,フォスターと名のる老億万長者から見せられた,その一冊の手帳が全ての発端だった。フォスターに執拗につきまとう火の玉に似た無数の宇宙生物の攻撃を逃れ,億万長者の失われた記憶の謎を探りだすべく,英国に今も遺るストーンヘンジを訪れた二人は,なんとその地下に巨大な宇宙船コントロール・ルームを発見する! 鬼才ローマー描く奇想天外,痛快無比の現代スペース・オペラ!
いやあ、めまぐるしい展開で進んでいくスピーディーな物語。掛け値なしの娯楽作品。「前世再生機」とはうまい邦訳です。原書の題名より数倍いいです。
最初は記憶喪失の謎を解いていくミステリーの展開。中途から、暗号をたよりに、宝探しの展開。さらにそこから宇宙へ飛び出し、新技術を持ち帰っての富豪生活。さらには、警察に追われてのスパイ合戦、ハードボイルド。さらに、そこから惑星へ行って、そこで奴隷になり、領主への下克上。さらに敵の首領との戦い、と映画にしたらとても面白そうなお話。突っ込もうと思えば、その「偶然性」に幾らでも突っ込めるのですが、そんなことに口を挟む暇もないくらい理屈なしの楽しさです。
思わずニヤリとしてしまう言い回しの面白さなどもあり、そのへんも楽しめる一要因でした。人称の「ぼく」というのも好きなんですよねえ。英語では、すべて「I」でしょうから、この辺は訳者の好みなんでしょうか?
読み終わった後に、「あー、面白かった」と清々しさの残る作品。
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