◎
『生命の樹』
追っ手に見つからぬよう、火星の寺院に潜伏していたノースウェスト・スミスは、女のすすり声を聞く。「道に迷った」という女の手を引いていたスミスは、火星の井戸に引きずり込まれることとなる。
このあたりになると、話がパターン化して、マンネリに入っちゃうはずなんですが、なぜだかこの話は面白かった。やっぱり、今回は異世界へ入る道筋が面白かったからかな。火星の井戸と聞くと、村上春樹の『風の歌を聴け』のデレク・ハートフィールドという架空のSF作家の小説を思い出します。
○
『スターストーンを求めて』
酒場で飲みつつ、地球に思いをはせるスミスの目の前の壁に、魔法使いフランガが現れ、彼を1500年代のフランスへ連れてゆく。そこで、彼らはジョイリィのジレルからスターストーンを奪う指令を与えられるのだが・・・・・・。
別のシリーズの主人公との共演のようです。ですが、まあ、最初から最後まで強引な感じは否めません。
○
『暗黒界の妖精』
金星のエドネス港岸にいたスミスは不思議な女性と出会う。彼女は特殊な光線の下でしか、人間には視認することのできない身体を持っていた。
着想は面白いけどねー、なんかもうこの展開に食傷気味。ループはきついっすよ。
△
『幻の狼女』
戦いに傷つき、荒野に倒れたノースウェスト・スミス。彼は大勢の狼女に囲まれることに・・・・・・。
うーん?意味がよくわからない。異色作だそうですが。この辺、惰性で読んでいたからかも。
△
『短調の歌』
地球へ戻ってきたスミスの短い回想。
スミスの生活スケッチ。最後まで、スミスという人間に感情移入することはなかったなあ。
総評:やっぱり、一番面白い話を一番最初に持ってくると読み進めるうちに辛くなってくるなあ。短編集の作品配列って重要ですよね。合作とか、おまけ的作品なんかが多くて、全体的には散漫な感じも否めない。
シリーズ全体的には、妖艶な雰囲気が味わえてよかったと思います。
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