◎
H・G・ウェルズ『奇蹟を行う男』
突如として奇蹟を行う力を得たフォザリンゲイ。しかし、彼はその力に振り回されることに。
地球を止めてしまうところが、やっぱり一番いいですねえ。こういった異常なシチュエーションを描けるところがSFのいいところ。自分の器量を超える力はもてあますだけで、いらないですね。
○
エドモンド・ハミルトン『フェッセンデンの宇宙』
久しぶりにフェッセンデン教授のもとを訪れた「わたし」は、彼が極小宇宙の模型を作ることに成功したことを知る。彼はその宇宙にさまざまな実験を試みるのだが・・・・・・。
うーん、傑作だときいていた割には楽しめませんでした。『太陽系七つの秘宝』を読んだときには、極小宇宙に非常な驚きを感じたものですが。なんだか、ありきたりな感もぬぐえないし、後味が悪い。期待しすぎたのかも。
△
C・A・スミス『プルトニウム』
秘薬プルトニウム(冥王星でとれるのでプルトニウムという。放射性物質ではない)を飲んだバルコスの目には、右に未来が、左に過去が見えるようになった。
うーん、微妙だ。結末もよめちゃうし。
◎
C・L・ムーア『生命の樹』
追っ手に見つからぬよう、火星の寺院に潜伏していたノースウェスト・スミスは、女のすすり声を聞く。「道に迷った」という女の手を引いていたスミスは、火星の井戸に引きずり込まれることとなる。
このあたりになると、話がパターン化して、マンネリに入っちゃうはずなんですが、なぜだかこの話は面白かった。やっぱり、今回は異世界へ入る道筋が面白かったからかな。火星の井戸と聞くと、村上春樹の『風の歌を聴け』のデレク・ハートフィールドという架空のSF作家の小説を思い出します。
○
ジュール・ヴェルヌ『2889年』
2889年、世界の情勢を左右するほど発達した、新聞社の社長フリッツ・スミス氏の多忙な一日を追う。
コールド・スリープの概念など、すでにこの頃に現れているのには驚きます。でも、気候が一年中一緒じゃあ、つまんないと思うけどなあ。
△
エドガー・ライス・バロウズ『火星の超巨人』
カーターの目の前で、火星の姫デジャー・ソリスはさらわれた!モーゲルの恐ろしい罠と巨人が、カーターを待ち受ける!
うーん。少なくとも、僕がSFに求めているのはこういう物語ではないなあ。バルスームを何度も、バスルームと読み間違えました。
☆
D・H・ケラー『歩行者族の反乱』
未来の世界で、人間は足を退化させ、自動椅子や車で高速の移動をするようになった。その世界では、二足の足を持った「歩行者族」は容赦ない差別を受け、動物をはねるような感覚で轢き殺されるのだった。絶滅したと思われた歩行者族だったが・・・・・・。
いやー、面白いわ。ちょっとショッキングな冒頭といい、機械化都市が滅びる様子といい、最後のおぞましい光景といい、夢中で読みました。ただ一つの種族を滅ぼすのに、もう少し正当性が説明してあれば、もっとよかったかも。しかし、すごい作品です。
◎
ジャック・ロンドン『影と閃光』
色が異なるだけで、そっくりな二人の男。彼らは幼少から、互いに意地を張り合い、事あるごとに競争を繰り返していた。そんな折、彼らは別々の方法で、人の目から見えなくなる方法を発明するのだが・・・・・・。
透明人間の変形バージョンですが、楽しいです。ストーリーはまあ、ちゃち、というかありがちな話なのですが、やっぱり、透明になる理屈づけが楽しかったです。
○
コナン・ドイル『ロス・アミゴスの大失策』
巨大な発電所のあるロス・アミゴスの町で、死刑が実行されようとしていた。強烈な電流を人体に流したその結果・・・・・・。
うん、まあ面白い。実際、電流を流したら焦げ死ぬんでしょうけど。
総評:再読ものが多くて、少し残念だったような。『歩行者族の反乱』がやっぱり面白かった。僕もあんまり車に乗らないんでねえ。クラシックな作品を読んで思うのは、やっぱり、科学的な正確さではなくて、「ロマン」や「ハッタリ」が大事なんだなあってことですね。科学オンチっていう理由もありますが。
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