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SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。

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SF読もうぜ(174) 『S‐Fマガジン』1964年8月臨時増刊号 大宇宙小説特集!

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1964年8月臨時増刊号


手塚治虫 真鍋博 星新一 福島正実(司会)『特別座談会 未来を創るワールド・フェア―SF三人男ニューヨークへ行く―』

 ニューヨーク世界博のレポート。

C・L・ムーア『生命の樹』

 追っ手に見つからぬよう、火星の寺院に潜伏していたノースウェスト・スミスは、女のすすり声を聞く。「道に迷った」という女の手を引いていたスミスは、火星の井戸に引きずり込まれることとなる。

 このあたりになると、話がパターン化して、マンネリに入っちゃうはずなんですが、なぜだかこの話は面白かった。やっぱり、今回は異世界へ入る道筋が面白かったからかな。火星の井戸と聞くと、村上春樹の『風の歌を聴け』のデレク・ハートフィールドという架空のSF作家の小説を思い出します。

ロバート・A・ハインライン『生命線』

 ある科学者が人の死亡する日付を予言できる装置を発明した・・・・・・。

 面白い話です。なんだか、悪者にされている発明者に感情移入してしまいました。最後に科学者連中がこっぴどい目にあうかと思ったけど、それがなくて残念。

ジェイムズ・H・シュミッツ『ヴェガよりの使者』

 遥かな未来、銀河全域に進出した地球人類の末裔は、強大な連合政体を作り上げて栄華を誇っていた。だが、だれ一人きづかぬうちに、恐るべき未知の敵がその人類を着々と蝕みつつあったのだ!

 うーん、ちょっと期待したけど、普通でしたね。『惑星カレスの魔女』が好きだったので、女性キャラクターに期待したけど、あんまりでてこなかったし。

浜口和夫『ヘロイノイド アルコール今昔・未来譚』

 将来は健康に害のない麻薬がはやるそうです。

ウィリアム・H・ホジスン『闇の囁き』

 突然、異様な振動が天空から伝わってきた。その音はまるで時計の歯止めがゆるんでネジが巻きもどされたような感じの音だった―――時間が狂ったのだ!

 うーん。怪奇小説ですね。最後がよかったです。

フィリップ・ホセ・ファーマー『母』

 彼は母親なしでは生きられなかった。だがその巨岩に呑みこまれたとき、彼は新しい母親を得、同時に一人前の雄になった!

 一人前の男になってないやん!究極のマザコン小説だと思いますね。現在の引きこもりにつながるような気もします。子宮回帰願望を表現した面白い作品。

星新一・選『パイロットショートショート』

 万年筆の広告のために募集されたショートショート。落とすにしのびなかった作品ということで、なかなか面白いです。

カレル・チャペック『RUR ―ロッサム万能ロボット会社―』

 彼らは純粋の労働力だった。人間以上の機能を与えられながら、感情も意志も苦痛さえない〈物〉だった。ロボット物の歴史的名作!

 うーん、ロボットものの基本がすべて組み込まれています。構成も舞台向けなので、非常にスピーディーでわかりやすいし、楽しい作品になってますね。大挙してやってくるロボットたち、そして包囲される人間の様子がいいです。楽しかったから、『山椒魚戦争』も読んでみたいなあ。

 総評:ベストは『RUR』。全体的に楽しめる作品が多かったです。ファーマーの作品もよかったなあ。図書館の本借りてると、ときどきはさまってるものがあって、興味深いんですけど、この号には大阪の旭屋書店のレシートがはさまってました。この本を寄贈した人がそこで買ったのかなあ。こういったことに思いをはせるのも一種のファンタジイですねえ。
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