巻頭言
朝永振一郎博士ノーベル賞受賞らしいです。
野田宏一郎「SF実験室⑦SF的予言考現学」
喋る新聞(ラジオ)のイラストがいいです。SF作家の未来予測は当たるか?というお話ですね。
○
ロバート・シェクリイ「時間泥棒」
青年助教授トーマス・エルドリッジは突如背後に現われた男に逮捕されることを告げられる。どうやら、彼はタイムマシンで未来に行き、そこで罪を犯したようなのだが・・・・・・。
未来の自分がアイテムを用意していて、それを使って難事を解決していくというのは、ディックの「報酬」と同じで、楽しかったです。シェクリイらしいラストもグー。時間ものの王道のような展開でした。
◎
カトリーヌ・クリフ「愛の鎖」
あたしはあの人に恋をした。人をひきつけてやまない、別の星から来たあの人に・・・・・・。
女性語りで語られる作品で、最後の残酷な真実を突きつけられてもなお、自分の気持ちに抑制がきかないその情の部分がよかったです。鎖・・・・・・マゾの人には心地よい作品かも。
◎
ワイマン・グイン「危険な関係」
21世紀の科学は、ついに人間に自然にそなわる二重の人格を分離することに成功した!一人の人間が二つの人生を送ることが可能になったのだ。が・・・・・・
いいです。まず設定自体が面白いですね。一人の人間が二つの人格を持っていて、薬によって主人格と副人格の自我を保っている。二つの人格はシフト性によって、持ち時間が決められており、それを医薬警察と呼ばれる組織が管理している。さらには主人格の夫と副人格の妻が不倫するという複雑な事情まで飛び出してくるのである。しかも、いかにも主人公に「いい話」をさせておいて読者に定型的なラストを誘導しておきながら、それを裏切るという作者のほくそ笑んだ顔が見えてきそうな幕切れ。うーん、傑作。
謝世輝「日本月探検隊1990年 その3 ―ある科学者の現実的空想―」
資源の採鉱を行っています。資源の少ない国なので、宇宙開発というのにはやはり関わっていたほうがいいですねえ。
伊藤典夫「SFスキャナー」
LONCONⅡの様子の紹介。オールディスやハリスンの出し物の話などが紹介されています。ヒューゴー賞ノミネートで僕が読んでいるのはコードウェイナー・スミス「The Planet Buyer」(「ノーストリリア」かな?)、ロバート・F・ヤング「Little Dog Gone」だけです。ライバーの『放浪惑星』はぜひ読んでみたい一品です。
SF DETECTOR
筒井康隆『東海道戦争』刊行。絶賛です。
さいえんす・とぴっくす
アポロ宇宙船で火星・金星へ(米)。ちょっと、それはムリだったようだ。
◎
生島治郎「世代革命」
明治生れ二・五パーセントが、日本の政治経済文化社会を牛耳っている。その不合理を矯め直すには、革命だけが唯一の手段なのだ!
うーん、面白い。中堅世代の恨み節が炸裂した話なのですが、たしかにピークを過ぎた人々が上に陣取っていて、現場と乖離したことをやっているというのはわからない気がしないでもない。途中で『火星人ゴーホーム』ネタをやったりするのは、余計ごとだとは、思ったけれど、オチもなかなかよかった。ただ、僕ならこの数年後に今度は上の世代にまわった自分が革命の犠牲者になる・・・・・・というオチにするけどな。
△
A・E・ヴァン・ヴォクト「秘密6号」
ナチス・ドイツがあれほど強引に侵略政策を推し進めたのも、この人知を超えた恐るべき新秘密兵器があればこそだったのだ!
スパイの記事をそのまま載せる形式なのだが、盛り上がりにかけるし、装置自体もフツーなので微妙。ナチスを悪者にするのもいい加減飽きた。
大伴昌司「トータル・スコープ」
『フィフィ大空をゆく』『大冒険』『怪獣大戦争』の紹介。空飛ぶゴジラが好きです。
光瀬龍『百億の昼と千億の夜』第三回
プラトンの章。
総評:ベストはグイン「危険な関係」。この頃、筒井さんの作風はシェクリイに例えられています。筒井ファンとしては、シェクリイに惹かれるのも当然なのかな。
人気カウンター順位①果しなき流れの果に②コーリン・キャップ「ラムダ1」③クラーク「海にいたる道」④光瀬龍「星の人びと」⑤ジェイムズ・ホワイト「宇宙病院」。僕としては「宇宙病院」を推したいですね。
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