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イワン・エフレーモフ『宇宙翔けるもの』
果て無き宇宙空間で二隻の宇宙船がめぐりあった。はたしてどんな人類が乗っているのだろうか?
技術的な問題を延々語る前半で眠くなったけど、後半のファースト・コンタクトはなかなか楽しかった。
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マレイ・レンスター『最初の接触』
カニ星雲の調査のために航行を続けていた宇宙艇ランヴァボンはこちらに向かってくる宇宙船を探知した。ところが、もしも、相手が好戦的な性格を持っていて、高度な技術を有していて、侵略したきたら人類の存亡さえ危い。そこで、互いに二隻の宇宙船は膠着状態になるのだが・・・・・・。
「ファーストコンタクト」という言葉を生んだのはこの作品だそうです。しかし、いきなり砲をぶっ放そうとするその姿勢が不愉快というか、あまり理解できなくて、ダメでした。よくも悪くもアメリカ的な作品ではないでしょうか。
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アレクサンドル・コルパコフ『宇宙の漂泊者』
宇宙を永らく旅していたせいで、地上との時間の差異が数世紀も出てしまう「相対人」の一人であるルソフは、新たに宇宙の旅へと出発する。そこで、彼は様々な困難に直面することに・・・・・・。
えー、個人的な感想を言わせていただくと、「つまらない」。なんだか、明治の政治小説やプロレタリア文学を読んでいる気分だ。「地球勤労者会議」など出てくるのがいかにも共産圏。ただ、「相対人」の暮らしぶりなんかは少し面白かったけど。っていうか、見知らぬ土地を旅するんだから無防備に外に出るんじゃない!ロボットの斥候ぐらい使わんかい!80世紀の人間だろ、キミ達は!(以前読んだ時の感想を転載)
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H・ビーム・パイパー『創世記』
巨大移民船が事故で大爆発を起こし、近くの星に漂着したカルヴァー・ダードら一行。彼等は子供を作り、ここで生き抜くことを決意したのだった。
宇宙版漂流もの。着陸した星の生態系がもうちょっと異様だったら、楽しかったかもしれない。ダイジェストみたいな感じで、これが長篇だったらもう少し細かく描写できたのではないかなあ。しかし、最後の一文がいろいろな意味に解釈できて判然としないのが消化不良。
◎
A・E・ヴァン・ヴォクト『黒い破壊者』
ほぼ不死身の生物クァールの棲息する惑星に地球から調査船がやってきた。激しい飢えにさいなまれていた一匹のクァールは食欲を存分に満たすために、計略をたてて人間を襲撃する!
サスペンスフルなお話です。もう一つは情報総合学という新学問が面白いです。専門化していく各分野を統合して、一つ高い視点から物事を眺める。最終的に認められなかった彼の考えが偶然にも的中してしまうのが、心に残りました。クァールは高千穂遙の『ダーティペア』シリーズでも活躍しているので、安彦良和のあの絵で視覚的にイメージできてよかったです。
◎
クリフォード・D・シマック『逃亡者』
人類は惑星に棲むために、その惑星の生物の姿になって、暮らすことに成功していた。ところが、試験的に木星の生物に転位させた人々が誰一人帰ってこない。これ以上犠牲者を出さないことにした隊長のファウラーは自ら愛犬を伴って、木星の生物になり、恐ろしい大気の中へ、飛び出して行った。そこで、待っていたのは・・・・・・。
素晴らしい!人間の肉体という牢獄から解放された主人公が羨ましい。人間には物事の認識や知覚の能力の限界があって、例えば原子単位での物事の推移というのは見ることができない。それが、別の肉体を手に入れることによって、人間の不可知性が払拭されてしまう。飼い犬との友愛の情といい、いいことずくめだ!僕も犬を飼っているので、心で直接話すというのは憧れるなあ。
総評:個人的嗜好として、技術的な面には興味がない、というのが改めて理解できました。プロセス(エンジンが何で、何をエネルギーにして、とか)は基本的にはどうでもよくて、その結果(ワープ航法ができる、とか)だけでいいんです。科学知識ないし。こんな僕はSF読者失格でしょうか?と、いうわけで、宇宙を延々旅する話なんかは苦手なんですよねー。だから、最初のほうの評価が辛いのかも。やっぱり、人間や生物中心のお話が好き。
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