墜落したロケットの真下にいたSF雑誌〈サプライジング・ストーリー〉の編集者キース・ウィントンの遺体は、木端微塵になったのか、ついに発見されなかった。ところが彼は生きていた―――ただしそこは、身の丈7フィートの月人が闊歩し、地球がアルクトゥールス星と戦争を繰り広げている奇妙な世界だった・・・・・・。多元宇宙ものの古典的名作であり、SFの徹底したパロディであり、SFならではの奇想天外さに満ちた痛快作!
なかなか面白かった。
スイスイ読み進めて気がつくと終っていました。その点でいえば、夢中で読んだといえるかもしれないけど、なにか物足りない感が心に残る。名作の誉れ高い作品だけに、期待はずれというか・・・・・・。
受容する側の世代が違うという問題が僕にはあります。まず、パルプマガジンなど、僕は読まないし(というか今の時代存在しません)、特にスペースオペラ的なものは、本を読むときの選択として外してしまいがちなので。それに、あまり「徹底したパロディ」とも、「奇想天外」とも思えなかったんですよねえ。発表年代から、半世紀以上すぎているわけで、多元宇宙ものとしても、特別斬新さを感じるわけでもないですし。題名が「発狂した宇宙」という素晴らしいものだけに、もっとハチャメチャなものを予想してたんだけどな。
濃霧管制や、夜行団などのアイディアの部分が面白かった。けれど、お話の展開は、やはり安っぽいし(それとも、これも狙いなのだろうか)、心の奥に食い込んでくるものは、なかったですね。
解説は筒井康隆。『発狂した宇宙』とディックの『宇宙の眼』を引き合いに出して、年代などの比較をされてますが、僕としてははるかに『宇宙の眼』のほうが面白く感じました。
期待しすぎると痛い目を見るのが古典SFを読むときに、気をつけなければならないことですね。できうるなら、何の前情報もなく、ガツンと衝撃を受けたいものです。だから、出版社の人よ、あまり
煽りすぎる紹介文をつけるのをやめてくれ!でも、期待できる内容でないと、手に取ることもしないしなあ。難しいところです。
PR
COMMENT