江戸川乱歩『少年探偵団』の時代から、少年探偵といえば、女装と相場が決まっています。小林芳雄少年は女装どころか、
仏像に化けたり、
百科事典に化けたりして、私を驚かせてくれたものです。そういえば、二十面相はポストに化けたりして、私を
失笑させてくれました。小学生の子供に対してムキになり、苛めて楽しむといった倒錯者二十面相。なんだか微笑ましいです。明智探偵、二十面相、小林少年の関係は同性愛的三角関係である、という研究者もいます。実際、乱歩は美少年愛好家でした。
高橋葉介『夢幻紳士』は戦前・戦後の少年探偵のイメージをそのまま固めたようなマンガです。しかし、話が進んでいく中に、どんどんギャグ漫画化していきました。『夢幻紳士』にはいくつかバージョンがありますが、今回は徳間書店版です。
時は戦前。少年探偵夢幻魔実也のもとには様々な事件が持ち込まれる。恋人温子や母、父と共に、ドタバタしながら、見事に(?)事件を解決!といったようなお話。
夢幻一家は
コスプレが大好きです。魔実也の父、狂四郎は毎回、着ぐるみを着て登場します。時には一家総出でコスプレ。「冬だ見合いだ年の瀬だおまけもついてる夢幻紳士」の回では
『パンダコパンダ』→『ルパン三世カリオストロの城』→『となりのトトロ』→『天空の城ラピュタ』→『風の谷のナウシカ』→『名探偵ホームズ』と宮崎作品フルコースのコスプレを行ってくれました。掲載誌が徳間書店だったからできた荒技です。
さて、魔実也くんはコスプレ大好きなので女装もします。口では「本当はこんなことしたくないんだ」とかいいながらいそいそとやってしまうところがミソ。「いやよいやよも好きのうち」という言葉がよく似合います。恋人に悪口を言われるときは「マミの馬鹿!変態!
女装趣味!」。
そんな魔実也くんの女装の遍歴。まだ幼少の頃、父親が将来息子(魔実也)にでかい顔させないように女装させ、写真を撮りまくる。
ナースに化けて、サナトリウムに潜入。
入院患者(♂)に迫られる。「王子と乞食ごっこ」で温子と服を取り替える。温子に「マミだってよろこんでわたしの服着てるでしょ」と指摘され、「別によろこんでないもん」と顔を赤らめる仕種がいいです。ちなみに肩の部分が天使の羽のようになっている
メイド服です。住み込みの女中として、マッドサイエンティストの家に侵入。またもや
メイド服だ!女学生として、女子高に潜入。着物です。今度は
同級生(♀)に迫られる。
魔実也くんは様々な人に迫られています。男女関係なしです。美少年は大変ですね。そういえば、『少年探偵団』シリーズのパロディもやっていました。
明智小五郎(父) 「
小林くん 私は前からきみが!!」と後ろから抱きつく
小林少年(魔実也)「やめんかア~ッ!!」
さすがに、わかっていらっしゃる。
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