SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。
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△『正義の名のもとに』
摩天楼に囲まれた広場に一つの像がたっている。『動機ただしければ過つことなし』。像に刻まれているのはその文字と、アルトメイヤーが投獄された三つの日付だった。
うーん。これは、微妙だ。けっきょく、理想主義だけじゃ、なんにもできねえよ、と。あまり好きにはなれない話だ。
◎『もし万一・・・・・・』
列車に乗り込んだノーマンとリヴィ。彼らの前の座席に座った男は、「もし万一」と書かれた箱を抱えていた。
面白いですねえ。こういう恋愛話はやっぱりいい。もし、あの時出会っていなかったら・・・・・・。ロマンチストの方にはオススメ。それ以外の人は冷笑するかもね。
○『サリーはわが恋人』
車の養老院で院長をしている老人「わし」。数ある車の中でも、お気に入りはコンヴァーティブルのサリイ。しかし、その車たちを買い取りたいという人物が現れ・・・・・・。
なかなか面白い。筒井康隆の『お紺昇天』を思い出しました。これに着想を抱いたのでしょうか?知能を持った車たちがかわいいのだけれど、僕はラストが気に入りません。
△『蝿』
大学の同級生三人が久しぶりに集まった。そのうちの一人は蝿が寄ってくる不思議な体質だった。
二度読み返して、ようやくなんとなくわかりました。
△『ここにいるのは―――』
赤毛の彼女にプロポーズをする度胸のない「ぼく」。研究室にいる相棒に電話をかけ会話した直後、その当人が現われた。すると、さっき電話にでたのは誰か?
僕はこういうでくの坊的主人公が恩恵を受けるたなぼた話はけっこう好きなのでねえ。ただ、お話的にはたいしたことなかった。
○『こんなにいい日なんだから』
「ドア」を使って、どこへでも一瞬で行くことのできる社会。しかし、ドアの故障を機会に、ハンショー夫人の息子リチャードは奇行に走るようになってしまった。
後半にかけてがとても微笑ましくて、すてきです。こういう風に、現実社会との対比をさせて、日常的な素晴らしいものを浮かび上がらせるというSFならではの面白さがでた作品だと思います。春の日差しが気持ちよかった今日にふさわしい作品でした。
◎『スト破り』
自給自足の生活をしているエルシヴィア。ここでは、なにもかもがリサイクルをされている。その星において、タブー視されているある職業の男がストを起こした。
これはいいぞ。どんな世界でも、こういった差別は常に行われるということ。偏見というものは簡単にぬぐえないということ。苦いラストが心に残ります。
△『つまみAを穴Bにさしこむこと』
宇宙ステーションA5に荷物が送られてきた。
ショートショート。まあまあなオチかなあ。
△『当世風の魔法使い』
恋状触発因子を開発したジョーンズ教授は教え子にそそのかされ、それをパーティの場で使うこととなる。
『魔法使い』という作品のパロディだそうですが、元の作品を知らないのでよくわかりませんな。でも、まあまあ面白い。
○『四代先までも』
サム・マーテンはある名字が妙に気になってしまう。仕事に集中できないほどに。彼は看板などの名字をおっていき、ある場所へとたどりつく。
うーん、僕の名字はあまりにもありふれたものなので、こういったのには憧れてしまいますね。移民の多いアメリカでは、ルーツというのは大事なものなのでしょうねえ。アシモフもロシア系だそうですし。
◎『この愛と呼ばれるものはなにか』
二匹のサンプルを宇宙船に連れ込んだボタックスは、船長に異性生物による生殖を信じさせるため、その男女にある行為を要求するのだが・・・・・・。
わはははは。笑っちゃいますよ。三流SF雑誌に対する皮肉に、ニヤリ。ちょっと、エロティックな感じのする短篇ですねえ。バカ話なんだけど、最後までやりとげた感のあるオチも大好き。
○ 『戦争に勝った機械』
マルチパックのおかげで戦争に勝った太陽系連合軍。その司令官を囲む三人が告白を始める。
ショートショート。最後のオチがなんかロックな感じ?
○『息子は物理学者』
母親は息子の研究室を訪ねた。そこでは、非人類からの交信と思われるものを傍受した息子が大騒ぎしていた。
ショートショート。こういう関係ない人が出てきて、素人考えを発言して、「えっ、今なんて言った?」と科学者あるいは探偵がヒントから真相を思いつくみたいな話が好きなんで。
○『目は見るばかりが能じゃない』
エイムズは「物質」を使って芸術活動を行うことを思いつく。
こういう精神存在っていうのが大好きなので○。もう少し、この発想を利用して、長いものを書いてほしかったなあ。
△『人種差別主義者』
外科医は説得しようとしていた。金属の心臓とプラスチックの心臓、どちらを選ぶのか・・・・・・。
うーん、オチが普通だとがっくりくるよなあ。
総評:ベストは『スト破り』。全体的に△が多いですが、作品の段階的評価をつけるためにあえてそうしているわけで、心情的には○に近いものばかりです。ただ、どうしても短い作品というのは、ある種の定型をかぶせて読んでしまうので、起承転結がきっちりしていないと満足できないものがあります。過剰にオチを期待してしまいますんで。
あー、あと、まえがきは余計だと思います。アシモフ博士、喋りすぎ。
COMMENT
お引越し
壁紙も変わったんですね~。
『サリーはわが恋人』 ちょうど読もうとおもっていました。
色々入っている短編みたいですね。
ロボット(AI)が好きなので楽しみです。
無題
こちらの記事に書くべきではないのですが
タイトルどおり、本来はこちらの記事につけるべきコメントではないのですが(この本についてのコメントが書けないので)、引越しについて書きたかったのですいません。
まずはお疲れ様です。少しずつ以前の記事を移されているようで、大変そうだなあと思いながら、安心しました。なんたって読んでないたくさんの本についての記事がなくなってしまうのは、あまりにも惜しいと思っていたので。いやー、ほんと大変かと思いますが、よかったです。
無題
いやー、心配してくださる方がいて、わたくし幸せです。