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どこまでも突っ走れ! 木多康昭『幕張』

23e31ed2.jpg 私は暴走する芸術家が好きです。或いは悪ノリすると言い換えてもいいかもしれません。文学賞選考委員を全部叩き殺すという筒井康隆の『大いなる助走』とか、コナミを怒らせた畑健次郎の『ハヤテのごとく!』とか、ちょっとやりすぎちゃう人が大好きです。今日はいつもギリギリのスピードでコーナーへ突っ込んで行き、いつも最後には大破してしまう漫画家Kこと木多康昭の『幕張』です。

 豊富なジャンプネタ、くだらなすぎる下ネタ、江口寿史にも勝る楽屋落ち等で(私のような)一部の者に熱狂的ファンを持つ作品です。
 舞台は千葉幕張。幕張南高校に進学した塩田と奈良は野球部に入部をした。しかし、野球などまったくやらずに、変態行為や世界最優秀高校生大会などに明け暮れる。・・・っていうか、まともなあらすじ説明なんて、話がめちゃくちゃすぎてできません
 塩田鉄人は『鉄人』と呼ばれ、暴走族やその筋の人に恐れられているおっぱい星人。奈良重雄は塩田忍(7才)に恋するロリコン変態男。後にホモセクシャルに転職。湘北高校バスケ部の補欠に酷似。必殺技は奈良づくし、奈良カッター。要するにこの二人を中心としたドタバタ劇(なんだと思う)。
 ほかには「先っぽ黒マティ」こと叶親、自称広末涼子、しかし、実際は赤木キャプテン似の女ゴリ子などの濃い面々が登場します。その中でも明らかな悪ノリで登場したのは小栗又一郎・・・・・・。『花さか天使テンテンくん』の作者である小栗かずまた氏をモデルにして作られたキャラクターですが、奈良率いる吉六会のメンバーとして全裸で登場したり、おかまを掘られたりとひどい目にあっていました。彼は後に大人の事情でマンガに登場しなくなりました。しかし、『リアルテンテンくん』は素晴らしいパロキャラでした。
 個人的に一番好きなシーンは塩田がゴリ子に電話しているとき、ゴリ子の衝撃的な台詞にフリーズした瞬間に、「ザ・ワールド」が発動し、『ジョジョの奇妙な冒険』のディオが元気球を頭上にかかげている(ドラゴンボール)②「左手はそえるだけ」と呟きつつシュートを放っている。(スラムダンク)③「ウォンチュッ!!」と叫びつつ、親指を立てた方の肩を隣の人物の肩にぶつけている(すごいよ!マサルさん)④「負けないのねん」と騎手を背中に乗せて走っている(みどりのマキバオー)。このシーンには死ぬほど笑いました。後、好きなのは『寄生獣』のミギーが出てくるシーンです。
 まあ、でも、一番凄いのは最終回だと思いますが。「幕張の主役っていったい誰なんですか?」という質問に対し、「(主人公は)ガモウひろし(「とってもラッキーマン」の作者)でした」とまったく関係ないマンガ家の名を挙げ、「第一部ガモウ編・完」として、連載を締めくくりました。最初から、最後までジャンプネタ一色、そして、素晴らしい暴走ぶりでした。
 暴走はこれに止まらず、マガジンに移籍した後、『なくよ、うぐいす』、『代表人』と続きます。そして、現在『喧嘩商売』を好調連載中。未だに突っ走っているK先生を島ぶーネタにはらはらしながらも、これからも私は応援し続けます。もっと、悪ノリしてくれ!
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