女装マンガを語る上で外せないのが江口寿史の『ストップ!ひばりくん』です。この作品は1981年から1983年にかけて「週刊少年ジャンプ」に連載されました。
ノーマルな男の子と女装する男の子を中心にしたラブコメです。
母親を亡くし、天涯孤独の身になった坂本耕作は母の遺言により、大空組組長大空いばりの家に居候することになる。そこで出会ったのは
女の子よりも綺麗な男の子、大空ひばりくんだった。ひばりは学校では女で通しており、学校一の美少女として認知されている。そんなひばりは耕作に想いをよせているらしく、ひばりのアタックにたじたじ。美少女(?)ひばりくんの周囲にはトラブルも絶えず、耕作は心休まらない日々を送る・・・・・・。こんなマンガです。
いい意味で80年代マンガですね。当時のポップカルチャーが作品にばんばん登場しています。『奇面組』なんかと似た雰囲気を感じます。YMOや薬師丸ひろこなんかがふんだんに見れて、今のマンガにはまったくない軽佻な雰囲気に九十年代のジャンプからしか知らない私は憧れてしまいます(連載開始時期に私はまだこの世に存在すらしてませんから)。
知らず知らずの中にひばりくんに惹かれている耕作の葛藤ぶりが素敵です。それにしても、このひばりくんの可愛さは尋常じゃないですね。個人的評価としては、女装漫画史上最高の可愛さです。ただ、
ビキニスタイルはやっぱりムリなんでしょうか。水着での登場シーンでは、下はトランクス型ものを身につけてました(
もっこりしちゃうもんなあ)。でも、その割にはブルマを普通にはいていたりするので、彼のモノがどれくらいの大きさなのかは判別しづらいですけど。もしかしたら、股の
間に挟んでいたのかもしれない。
まあ、こんなに女装した男を
可愛く書かれると、耕作が変な気持になるのもわかります。男の子らしさってなに?女の子らしさってなに?としばし
ジェンダーの問題の深み(おおげさ)にはまってしまいます。さて、作者もそんな思考にはまってしまったかどうかわかりませんが、この作品は事実上
未完です。作中にはしばしば作者が登場し、「
白いワニが襲ってくる」と繰り返し言い募ります。白い原稿→怖い→白いワニということらしいです。連載中も
数ヶ月の中断があったり、
ページの変動は当たり前という感じだったそうです。なんか、某冨樫先生を彷彿とさせる話ですが、ジャンプ愛読者賞では「POCKY」という読みきりで、
ネームのまま載せるという快挙を達成しました。人気作家の証ですね。「メイキングオブひばりくんの巻」では
本編のキャラは一度も登場せず、作者が「
ちょっといきのいいネタをさがしに千葉の勝浦までいってくらあっ」と言い残し、連載はそのまま(事実上)終了してしまいました。冨樫先生がそうならないように祈りたいです。
ちなみにこのマンガを読んで、
その道にすすんだひともいるとか・・・・・・。覚悟してお読み下さい。
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