昨日に引き続き、本日は
宮崎駿『泥まみれの虎 宮崎駿の妄想ノート』。『月刊モデルグラフィックス』に94年、98~99年短期集中連載。
オットー・カリウスによるエストニア、ナルヴァ地方でのドイツ・ソビエト最前線でのティーガー戦車での激闘の手記を基に描く『泥まみれの虎』、前作『宮崎駿の雑想ノート』で活躍した整備兵長ハンスのその後を描く『ハンスの帰還』の二篇を収録。宮崎駿のエストニア・ドイツ訪問記もあり。
たった二両のティーガー戦車でソ連軍の進出を食い止める。冷静沈着な弱冠21歳のオットー・カリウス。地味だけどその姿にはリーダーとして、兵員の命を預かる責任がとって見えて、感動と関心を同時に覚えました。
人間は全員豚の姿で描かれており、
いずれ戦争に関わりあう人間なぞ、豚の姿で十分だというような著者の考え方が見られるような気がします。ただ、戦争というのは同時に人間の歴史の部分でも「
面白い」ものであることは明白なことです。そのへんの葛藤、というか外野からミリタリーマニアというだけで嫌悪されるのに頭にきたのか、彼は『どうなる4号改造コンテスト』の回の冒頭で爆発してます。
まあ、それはさておき、このマンガ、本人の趣味の延長とあってなかなかコミカルな場面も多く面白いです。連載に苦しんでいたのか当初タイトルのところに入る名前は普通に「宮崎駿」だったのが、途中から「ミヤザキ
オソオ」に。さらに連載が進むと「宮崎
グズオ」になってしまいました。
二話目の『ハンスの帰還』は前作の続編で、アクションあり、ロマンスありの映画のような作品で素晴らしい。特に登場する母娘が宮崎アニメに典型的なヒロインとお年寄りなのでとっても楽しいできになっております。連載直前、『風の谷のナウシカ』最終話が『アニメージュ』に載ったときに、
なぜかナウシカではなくこの作品が『アニメージュ』の表紙を飾ったという作品なので宮崎監督自身、とても思いいれのある作品ではないかと思います。
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