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SF読もうぜ(197) アイザック・アシモフ『はだかの太陽』

img131.jpg すべてがロボットによって管理される惑星ソラリア―――だが、そこで、有史以来初の殺人事件が発生した。ロボットしかいない密室で人間が殺されたのだ。ロボットに殺人ができるはずはない。ソラリアの要請で急遽地球から派遣されたイライジャ・ベイリ刑事は、ロボットのオリヴァーとともに捜査に着手するが・・・・・・『鋼鉄都市』の名コンビがふたたび登場し、完全殺人の謎を鮮やかに解明する、ファン待望の傑作SFミステリ!

なかなか楽しかった。

 トリックなんかは別にたいしたことないなあとか思ってしまったけれど、惑星ソラリス・・・じゃなくて、ソラリアの生活が非常に面白かった。人と映像で接見することは当たり前だけど、直に「見る」ことにものすごい不快感を覚える人々・・・・・・。だって、他人と同じ空気吸うなんて気持ち悪いじゃん。においがしそうなんだよお。と潔癖性な発言。少しわかるなあ、その気持ち。

 同様にベイリという警察官も地球上でのせせこましい生活に慣れすぎて広所恐怖症になっていたり、太陽の光にあたって倒れたり、さまざまな経験をしています。地球での経験を引きずっている彼が別の星に行って、カルチャーショックを受けていく下りが一番楽しかったです。特に映像で恥ずかしがらずに裸をさらすソラリアの女性の姿に戸惑い恥ずかしがる様子がかわいい。

 ミステリファンとして満足できないのは、やっぱりおどろおどろしい様子がなくて、殺人事件がすっきりしすぎている点ですね。僕は新本格派とかの異様に設定にこったり、横溝正史の田舎での人間関係ぐちゃぐちゃの世界とかが好きなもので、その点刺激が少し足りなかったなあ。

 最後にまたもやいい話にしてしまうのはいいんですが、僕は地球での生活環境に引きずられているベイリが好きだったので、最後は少々がっかりしてしまうんですよね。毎回毎回、権威や因習を打破するというラストでは少し食傷気味になっちゃいます。「作風」といえばそれだけですんでしまうのですが。と、ひねくれたことをいうのはわかっちゃいながらも、少し感動してしまった自分が恥ずかしかったからです。傑作!とまではいえないと思うけれど、なかなか楽しい一品でした。


 アシモフの他作品の感想
  『神々自身』
  『火星人の方法』
  『サリーはわが恋人』
  『鋼鉄都市』
  『はだかの太陽』
  『永遠の終り』
  『ファウンデーション』
  『ファウンデーション対帝国』
  『第二ファウンデーション』
  『ファウンデーションの彼方へ』
  『ファウンデーションと地球』
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すっきりさわやかアシモフ

  • by goldius
  • URL
  • 2007/09/05(Wed)23:54
  • Edit
におどろおどろしい様子を求めちゃいや~んw
エログロの無い、すっきり論理の面白さがアシモフですぞww

無題

  • by A・T
  • 2007/09/07(Fri)07:39
  • Edit
 たしかにそうですね。本人も言うとおり、彼の作品にはアクションがあんまりないし、僕の好きなエロもないですね。偉大なる保守派という感じで、こういう正道をいくSFに対する信頼感とか安心感があります。ただし、ディック、ヴォクトのように、どこか道を踏み外して突っ走っていくハラハラ感がないのが読んだ後に、静かな興奮だけが渦まいているという状態で、強烈な印象がないような気がします(ファウンデーション三部作は別ですが)。まあ一長一短ですね。

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