天空に赤く輝く神秘の星、火星。その表面で、ある夜、無数の爆発が観測された。それから6年後、イギリス各地に、夜空を切り裂いて緑色に輝く流星群が降りそそいだ。当初、隕石と思われた謎の物体のなかから、やがて驚くべき姿の生物と巨大なマシーンが出現!人々を焼きつくし、次々に村や街を破壊してゆく。その圧倒的な力の前に、人類はなすすべもなかった・・・・・・SF史上に燦然と輝く不朽の名作。
よかった。
人類の脆弱さを、はるかに科学の進んだ火星人に来襲させたことで描き出している。混乱、破壊、狂気・・・・・・破滅テーマの魅力が詰まっていて、面白い。
火星人の行うことが悪業であるなら、人間が動物たちにしていることは悪ではないのか?などの、火星人と人類との比較を行っている部分がやはり、いいですね。相手をただ敵役に仕立て上げるだけではない、その深い部分がやはりウエルズを文学者として成り立たせている部分だなあ、と。
火星人の怪異な容貌や、吸血行為、圧倒的戦力など、戦慄する部分もけっこう多く、時空を超えても残る作品なのはよくわかります。ただし、これはしょうがないことですが、ウエルズと同時代人が覚えたような衝撃を受けないのは残念。「科学が発達した火星人がこんなに呆気なく・・・・・・」とか、突っ込んでもしょうがないことですけどねえ。それは、どの侵略SFでも突っ込めるとこですし(『インデペンテンス・デイ』とか)。
関係ないですが、序をアーサー・C・クラークが書いているのですが、彼がウエルズのことを「H・G」と表記するたびに、レイザーラモンHGの顔が浮かんでしまうのは僕だけでしょうか?
レトロSFの魅力を楽しめる傑作です。ジョージ・パルやスピルバーグの映画も見たくなってきました。
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