ジョウント効果と呼ばれるテレポーテーションの開発によって、世界は大きく変貌した。一瞬のうちに空間を跳び、人々はどこへでも、自由に行けるようになったのである。しかしそれと同時に、このジョウント効果がもたらしたもの、それは富と窃盗、収奪と劫略、怖るべき惑星間戦争でもあった。この物情騒然たる25世紀を背景として顔に異様な虎の刺青をされた野生の男ガリヴァー・フォイルの、無限の時空をまたにかけた絢爛たる〈ヴォーガ〉復讐の物語がここにはじまる……。アメリカSF界きっての奇才が、前衛的な手法と華麗な筆致を駆使して見事に描きあげた不滅の名作!
面白いです。
面白いけど、個人的には合わなかったかなあ・・・・・・。すばらしい冒頭の書き出しには、引き込まれたのですが、フォイルの目的には、ついていけなかった・・・・・・。ほかにも、よくわからん部分がたくさんありました。
こういうのは忘我の状態で、読まなきゃいけない作品だと思うのですが、『世界SF全集』という分厚い本で読んだので、持ち運びができず、読むのをのびのびにしているうちに冷めた目でちょっと眺めてしまったのがまずかった。登場人物がいちいちくっついたり離れたりするのも、なんだか面倒くさかったし。
ジョウント効果というテレポーテーション能力や、盲目の人間の見るものの範囲と違うものが見える女性、サトラレみたいに一方方向に思念が伝わる人間など、超能力が楽しい作品ですね。舞台も宇宙戦争の最中を舞台に、惑星を飛び回る展開で、たしかに絢爛豪華。ワイド・スクリーン・バロックと呼ばれるジャンルだそうですが、こういうのも、どんどん読んでいきたいですねえ。
一番のみどころは、やはりラスト手前ですかねえ。伏線として現われたバーニング・フォイルの正体がわかるところが一番興奮しました。けれど、その次のフォイルの「虎論」は?だったし、ラストも?。僕の頭が悪いのか?オールタイムベスト十位以内の作品ですが、弱い部分ばかり、見えてしまったのかもしれません。
そういえばベスターは、短編集も買ったままほったらかしにしているし、どちらかというと、苦手な作家なのかもしれない。まあ、その判断は伊藤典夫氏が解説で激賞している『分解された男』を読んでからにしたいと思います。
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