岡俊雄『マイスター、モンスター ―SFと怪奇映画の名優たち』
写真満載で、怖いというより気持悪い。
『人間、みなお化け』
映画の化け物たちに、ふさわしくない日常的な言葉を場面につけるという趣向。お、面白いわー。
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レイ・ブラッドベリ『泣き叫ぶ女』
小学校五年生のマーガレット・レアリーは、裏の空き地の地面の下から、女の叫び声を聞く。
大人たちが取り合ってくれないのに、イライラします。ポーの『早すぎた埋葬』を下敷きにしたホラー。
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シオドア・スタージョン『熊人形』
愛らしい玩具のテデイ・ベアが、異形の者の化身だとは誰が知ろう?幻想の詩人スタージョンの語る異様な恐怖!
現在と過去?現在と未来?が混濁する異様な世界。やっぱり、こどもって怖いなあ。訳者が小笠原豊樹さんなのも、内容でうなずけます。この話はSFですねえ。
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ルイス・C・ストウメン『ブロンドの犬』
グラント・ウィルキンスンは、誤って犬を轢き殺してしまう。ところが、逮捕しにきた警察官は彼が人を轢いたと言い張るのだった・・・・・・。
ホラーです。ただ、これがSFか?と聞かれると首をひねらざるをえない。僕のSF境界線の範囲外ですね。
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マレイ・ラインスター『もうひとつの今』
妻は死んだはずだった・・・・・・。ところが、妻の日記には、新しい日付に彼女の日常が刻み込まれていっているのだ・・・・・・。
死んだ妻の日記に、妻の生活が描かれていっている・・・・・・。こわいというよりは、「いいじゃないか!」と思ってしまった僕は変な人?『シックス・センス』みたいな結末かと思ったけど、ハッピー・エンドでよかった。ホラー?
フランク・エドワーズ『現代の謎 ・・・しかもそれは起った!』
実際に起った怪奇な事件・・・・・・。眉に唾をつけないと、読めない話ばかりです。
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星新一『夜の声』
病院で目覚めた男。自分はなぜこんなところで目覚めたのか・・・。
耳の中で、ずうっと何かを喋られるというのはたしかに耐えられないことです。近所の工事現場の騒音でさえ、イライラするのに。
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石川喬司『岬の女』
北海のはて、濃霧におおい隠された岬の鼻の古宿で記者達は世にも奇妙な体験をした。始めは餅肌の女たちが・・・。
エロティックな短篇。混浴したいなーという男性の願望が表れた作品(?)。怖いというよりは、ユーモラスな作品だと思った。
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アガサ・クリスティー『灯』
子どもの幽霊が出るといわれる屋敷に引っ越してきたランカスター夫人一家。そこで、彼らが見たものとは・・・・・・。
なかなか面白かった。やはり、幽霊屋敷に子どもはつきものですよねー。
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リチャード・マティスン『葬式』
クルーニー葬儀社へ葬式の申込みに来た男はいった・・・「死んだのはぼくです。ぼくがぼくの葬式を出すんです」。
これもユーモラスな短篇。ひたすらビビる葬儀屋が面白い。
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ドナルド・ワンドレイ『生えてくる』
レインコートを着た不気味な男が、その病院を訪ねてきた。医者はその雨具の下に異様なものを見ることとなる。
身体になにかが生える恐怖!女の妄念が、ちっちゃいその女を体に生やす・・・・・・。こ、怖いぞ。ちなみに、少年漫画でも、『美鳥の日々』という、女の子が右手に生えるという奇妙なマンガがありましたが・・・・・・。
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ヘンリイ・カットナー『幽霊ステーション』
巨大なコンピュータを管理する職場で、ある男が狂気のあまり自殺した。コンピュータはその影響を受け・・・・・・。
これこそSFホラーかと。後半の見せ場がなかなかよかったです。
平井呈一『海外怪談散歩』
海外ホラーの紹介。
田中潤司『憑かれた家 英米の幽霊屋敷』
題どおり。
都筑道夫『私の出会わなかった幽霊たち』
著者自身の恐怖体験。
ジョン・ヘイグ『吸血鬼―わが告白―』
吸血をしていた実在の猟奇殺人者の告白文。怖いというよりも、人殺しに快感を感じているヘイグが気持悪い。気分が悪くなる。
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ドナルド・A・ウォルハイム『骨』
夜の博物館に招待されたシバラス。彼らの前に出されたのは、腐食していないエジプトのミイラだった。
最後のシーンがやっぱりよかった。まあ、ショートショートだし、オチが命ですね。
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コーネル・ウールリッチ『死よ驕るなかれ』
デンホルト医師の手により、死からよみがえったオショネシイ。彼女が医師のもとを去ったとき、悲劇は始まった・・・・・・。
生きながらにして、肉体が腐っていく・・・・・・。ブルブルブル。やっぱり、こわいなあ。マッド・サイエンティストの物語。でも、オショネシイの過去はやりすぎだろ。
総評:全体的にすごく面白い作品もない代わりに、つまらない作品もありませんでした。っていうか、個人的にホラーは苦手なんですよねえ。やっぱり、理屈づけがなんかが欲しいもので。わかんないやつにはSF読む資格なんかないって、巻頭に書かれてあるけれど。
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