SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。
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いやー、面白かったですー。
前に『人間以上』を読んだときにも感じた、なにか「凄み」のようなものを、また感じました。
『人間以上』同様、虐待される子ども、社会から疎外された人間が主人公です。ミュータントの悲哀というものが感じられて、いいです。最初はジュブナイル的な展開なのかなあ?と思いつつ読んでいましたが、途中から様相が変わってきて、人類の憎しみと、愛が絡んだ物語になっていきました。ジーナとホーティの心の連帯が美しいです。
「宝石が夢を見る」という非常に幻想的な設定も美しい。水晶が結婚する云々のところは正直、よくわからない部分もあったけれど、ホーティの体の変形とか、そういうSF的な部分が効果的に使われていて、面白かったです。
途中のカーニヴァルの様子は、江戸川乱歩的な面白さがあって、いいですね。「フリーク・ショウ」というのは、昭和初期の見世物小屋みたいなものなんでしょうか。ブラッドベリの『何かが道をやってくる』という作品でも、同じような描写が見られますが、アメリカ人にはサーカスというのは特別なものがあるんでしょうね。
宝石と意思が通じない、宝石と人間は同じ世界に存在しながら、別個の世界観を持っている。ここのところの、不可知性が最後まで貫かれていて、そこも、また一つの「凄み」であるなあと思いました。確かに名作です。
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