野田宏一郎「新春特別読物 エドガー・ライス・バロウズの世界」
ターザンは読んでみたいと思います。火星シリーズはあまり好みじゃないので・・・・・・。
☆
筒井康隆「マグロマル」
ウダン・パニキ星系第三惑星カリアヤムの人工衛星上にある星連都市では、毎日毎夜、ひっきりなしに、何かの会議が開かれていた・・・
最高。何度読んでも笑える完成度の高い作品。日本SF史上に残る傑作。
○
佐野洋「異臭の時代」
交通事故で気を失って、ふたたび意識をとりもどしたとき、彼は、あたりにたちこめる異様な臭気に気がついた―――
起きたら男性が異常に少なくなって・・・・・・というお話。山田風太郎の「男性滅亡」みたいな展開です。しかし、佐野さんは「かたつむり計画」など現代の女性からは怒られるような作品をよく書きますね。
△
石川喬司「魔法つかいの夏」
爆弾をあびて、海辺の町はたちまち火に包まれた。傍若無人な火の海を幼い恋人たちはボートの中から見とれていた―――
痛すぎて読んでられない。戦争経験者らしい作品だなあと戦争を知らない僕は思いました。残酷な作品で、エンターテイメントとしては決して読めない。
○
豊田有恒「襲撃者」
その不吉な名を持つ惑星の住民たちは、執拗な攻撃をくりかえしてきた。彼らの超能力の前には、科学武器は無力に近かった。
「超能力 メデューサ変化!」「超能力 絶対零度!」といちいち叫ぶ敵の様子がなんだか愉快。でも、超能力の内容は四次元の世界に気づく様子など、けっこう面白かった。
○
三好徹「ワロリンピック作戦」
金メダル一個が国連投票権の一票とみなされるにおよんで、世界各国はオリンピックのために、すべての力を投入した。
上記のアイディアは面白かった。けれど、スパイ戦の様子とか、相手の正体とか、どうも子どもだましのお粗末な内容なのが残念な気がしました。
○
久野四郎「旅行案内」
はじめはすべて上乗だった。何しろ資本はごく僅かであとはこっちの腕しだいなのだから。
なかなか面白かった。催眠術にかけて、旅行に行かせた気分にさせて稼ぐ男の話。ディックの「夢を売ります」のようですね。
△
生島治郎「ゆたかな眠りを」
ロボットの進出で、人間の失業はいっそう深刻になるばかりだった。主人公桑島がその計画の実行に踏み切ったのも・・・・・・
ちょっと主人公の気持ちに同調できなくて、なにやってんだこいつは?という感じだったので。前号の作品が面白かっただけに、ちょっと期待しすぎたのかな。
◎
福島正実「SFの夜」
「新文学マガジン」編集長の小杉は、編集部に少年SFファンから脅迫状が届いているのを知る。
うひゃー。やっちゃいましたねー。巻頭言に怒った少年ファンが・・・・・・ということは実際にあったのかどうかは知りませんが、論争史には少年ファンとの関わり合いも載ってたりしたので、なんだか真実味が。SFに対する福島氏の真摯さはわかりますが、やりすぎのような気もします。まあ、このへんの過激さは筒井さんの小説の影響も受けちゃったんでしょうかねえ。
安倍公房「SF、この名づけがたきもの」
安倍公房氏がSFの怪物性について語っておられます。
SF作家クラブ会員「SFMジャーナル よろず相談室」
おもしろおかしく皆さん答えておられる。
矢野徹「SFをいかに売るか―わが体験と告白―」
星新一氏との関わりがやはり気になりますね。本読んだばかりなので。
柴野拓美「SFマセマティカ」
うーん?よくわからんかった。僕図形とか、数学とかダメなんです。
草下英明「新・ヘンな話のタネ」
ヘンな話のタネについて。映画等を観て、いろんな不満があるようです。
伊藤典夫「SFスキャナー」
この一年の紹介の取りこぼしを一気に。デューンとか読みたいですね。
SF DETECTOR
ライバーの『闇よ、つどえ』とか気になりますね。
さいえんす・とぴっくす
巨人機時代せまる(米)なんだか飛行機つながりで中華航空の事件を思い出しました。
アルフレッド・ベスター「SFとルネッサンス人―異色作家の異色SF論―」
特に異色とも思えませんが、後半はちょっと感動的であるかもしれない。
大伴昌司「トータル・スコープ」
「空想旅行」の紹介。これは『ミクロの決死圏』でしょうか。
○
眉村卓「最初の一日」
なにがどうくるったか、世界総人口の六割が、テレパシー、テレキネシス、テレポーテーションなどの超能力をもった!
なかなか面白いのですが、やっぱり異常事態の人間心理のどぎつさみたいなのが、筒井作品を読んでいると弱いなあと感じます。眉村氏と筒井氏のファン層は重ならないそうですが、そういう感じなのかなあ。最後の場面がちょっとこわいですけど、女を悪者にしすぎるのもちょっとよろしくないかなあ。
○
星新一「新しい実験」
催眠術をあることに利用しようとする博士は、その青年に催眠術をかけるが・・・・・・。
うーん、それなりに楽しいです。
○
平井和正「虎は暗闇より・・・」
常にショッキングな場面を見逃してしまう「ぼく」。そんな僕が頭にケガをし、後遺症が残ったとき・・・。
事故とかを見たいという人間心理は確かに存在するので、そういう暴きたてみたいなのが面白かった。この前、同じ町内で火事が起きたとき、子どもたちが走って火事を見にきてた。子どもって人間の素直な心理の表れですからね、大人も同様、その気持ちをきっと持っているんでしょう。
◎
小松左京「黴」
それの群れは、果しない宇宙空間を流れてきて、地球の表面に落ちこんだ。そのひとつは日本の京浜工業地帯に落ちた。
増殖というか、工場化していく化け物の様子がいいですね。他の生物から見れば、人間だってオートメーション工場のように見えるかもしれないじゃんという指摘がやはり面白い。さすが、小松左京氏である。
光瀬龍「百億の昼と千億の夜」
阿修羅像の御写真が載っています。仏像ってステキ。
総評:オール日本人ですが、やはり外国人いるときよりも、質が下がっているような。なにせ精選した作品を翻訳しているわけですからねえ。芸風を確立している筒井氏(この号の作品で確立したといってもいいかもしれない)、星氏、小松氏の御三家は安心して読めるのですが・・・・・・。まあ、好みの問題なのかもしれませんが。
人気カウンター順位①果しなき流れの果に②ボロゴーヴはミムジイ(パジェット)③だれも宇宙船を見ていない(ラインスター)④星と砂(光瀬龍)⑤侵略報告(コグスウェル)あれっ?マクリーン入ってない!?僕には批評眼なんてものがないのかもしれない。まあ、いっか、どうせ印象批評なんだし。自分が楽しめば。
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