「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」。入学早々、ぶっ飛んだ挨拶をかましてくれた涼宮ハルヒ。そんなSF小説じゃあるまいし・・・・・・と誰でも思うよな。俺も思ったよ。だけどハルヒは心の底から真剣だったんだ。それに気づいたときには俺の日常は、もうすでに超常になっていた―――。第8回スニーカー大賞〈大賞〉受賞作、ビミョーに非日常系学園ストーリー!
ライトノベルとはいかなるものか?と思って、現在一番人気だというこの一冊を手に取りました。
思えばライトノベルを読むのも、中学生以来です。友達に勧められて読んだ『スレイヤーズ!』シリーズが最後でしたでしょうか。ダーティペアやラブペアシリーズなどが、ライトノベルの系列に入るのなら、また別でしょうけど。
なんだか気恥ずかしいので、坂口安吾の『堕落論』の下に隠すようにしてレジに出しましたが、エロ本を買う中学生のような心境でした(?)。というのは、一応僕は国文科の出なので、こういうのを買うときは、なんだか気恥ずかしい気がするんですね。あと、自分がオタクであるという過剰なコンプレックスもあったりします。ですが、小説とは自由な文学形式であるのだ、という筒井さんの言葉を胸に、葛藤を抱きつつも堂々と購入。
一読しての感想は「楽しい!」というものでした。赤川次郎の小説を初めて読んだときのような気分ですね。情景描写がほとんどなく、会話体などでストーリーがぐんぐん進んでいく。平行して読んでいたアーシュラ・K・グィンの『所有せざる人々』の十倍くらい速いスピードで読み終わってしまいました。
世界観はアニメやマンガそのもので、小説の持つ現実の模倣みたいなものはほとんどなくて、ちょっと恥ずかしいんだけれど(主人公の口調とか)その恥ずかしさを乗り越えることができれば、面白いですね。類型的なキャラクターを配置して、キャラクター自体がシチュエーション・コメディの「シチュエーション」を作り出している。まあ、シリーズものについては、だいたいにおいてそうなっているものですが、世界そのものの構造を涼宮ハルヒに担わせているところなんか、キャラクターにこの小説がいかに依存しているかがわかって、興味深いところではありますね。
そして何気にハレムものになっているのも見逃せないところでしょう。ハルヒはツンデレっぽいし、朝日奈さんはもう陥落してるっぽいし、長門もキョンのこと気に入ってるっぽいし、古泉は人間関係を持つよりも観察者にまわってるっぽいし。朝日奈さんを好きといいつつもハルヒに接吻するキョンのその無責任性を批判することもできるでしょうが、僕はこういう展開嫌いでないので楽しめました。
小説にはさまざまな楽しみ方があるものです。久しぶりにこういった小説の楽しみ方を思い出しました。何気に登場するSFネタも嬉しいです。
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COMMENT
ご無沙汰しています
と、思ったらハルヒはSF小説ですよね~。
未来人やら宇宙人も出てくるし。。
A・Tさんと同じくサクサク読めるところが好きです。
お久しぶりです