あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
ウィスコンシン州の人里はなれた山奥に、一軒の家がある。なんの変哲もない農家にしかみえぬその家が、実は銀河系の星々を結ぶ中継ステーションであることを知る者はだれ一人いなかった。特殊な液体の中に浮かぶ水生生物、体中から蛍光を発する発光生物、そうした様々な異星人たちが、家の中に据えつけられた物質転送機を通じて、星から星への旅を続けていく・・・・・・。しかし、のどかにたたずむその家にも、怖るべき破局が忍び寄っていた。経済の混乱、国際情勢の悪化にともない、世界は第三次大戦勃発の危機におびえていたのだ!巨匠が詩情ゆたかに描くヒューゴー賞受賞の名作!
2007年、一発目のSF。いやあ、名作ですね。読んだ後、しみじみしちゃいました。
登場する人物は、ほとんどが善人。時々、でてくる悪人っぽい人物も、微妙にフォローしてあったりして、悪人になりきれてません。解説にあるとおり、確かに牧歌的な世界だなあ、と。銀河系の人たちも、一人を除いて基本的に善人すぎる人々だったし。暖かな心の交流、交流できないまでも、互いを理解しようとする姿勢が、気持いいですねえ。
なんの変哲もない山奥の一軒屋が、実は銀河系の中継ステーション。日本のSF漫画の感じに似ていていいですね。「引き出しの中にタイムマシン」とか、「押入れの奥に地下要塞」とか・・・・・・。日常的風景に溶け込む未来的、宇宙的装置って、SF心をかきたてます!
ラストは不自然な感じは隠せませんが、聾唖の少女の生くべき道が定まったのはよかったなあと、ほっとしました。より高度な存在である、精神体生物の登場など、人間がいまだ幼い種族であり、戦争で自らを滅ぼすことになりかねない愚かさなどが説かれてあって、人類という種族がとるべき道を模索する小説にもなっています。心がほんわかと暖かくなる作品でした。
PR
COMMENT