9月26日月曜日の夜半、ロンドンにほど近い小村ミドウィッチに白く輝く円盤状の未確認飛行物体が着陸するや、半径1マイル内のあらゆる生物を眠らせてしまった。そして24時間後、円盤はふたたびいずこへともなく姿を消した。住民はすべて無事。村は何事もなかったかのように見えたが・・・・・・村に住むあらゆる受胎可能の女性・・・・・・17歳から45歳までの全員が妊娠していたのだ!イギリスSF界の重鎮が描く、戦慄と恐怖の異色作。
痺れた・・・・・・。これは名作だ・・・・・・。
最初の、村に侵入した人々が、片っ端から気絶する場面から、もう、やられっぱなしでした。SFの異常なシチュエーションがもたらす魅力がたくさん詰まった物語。突如として、村中の女が妊娠してしまう恐怖!生れた子ども達の奇妙な金色の光彩。村から出られない村人達・・・・・・。それらの状況が、とてもリアルに描かれている。
それだけでなくて、この作品にはインテリジェンスを感じる。ウインダムの作品を読むのは初めてですが、ウェルズやヴェルヌの作品のような、一般の人々にも通じるだけの、普遍性がこの物語にはあると思います。彼はきっと、知性派の作家ですね。けっして、エンターテイメントに徹した作品でなく、登場人物による問答などがあったり、小松左京の作品を読むのに近い雰囲気があると思いました。こういう論文調の作品は好きなので、たいへん面白く読めました。
原題は『The Midwich Cuckoos』。『ミドウィッチ村のカッコー』です。映画化されたときの題名は『未知空間の恐怖・光る眼』。『呪われた村』という題名といい、B級ホラーのような題名で、作品の上品さを損なわれてしまっているような感じがあります。この邦題は失敗じゃないでしょうか。
ウインダムは『トリフィドの日』が高名な代表作だそうです。この上、まださらにすごい作品があるのか!と解説を読んで驚きました。読むのは来年になりそうですが、今から楽しみです。
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