他人の薬剤カードを使い、薬品を購入した罪で、オアは自発治療処分となり、精神科医の診察を受けなくてはならなくなる。オアはヘイバー博士という精神科医のもとに治療に通う。そこで、オアが告白したのは「自分の見た夢が現実に反映してしまう」ということだった。ヘイバーは無論、精神病の患者のいう妄想だと思っていたのだが・・・・・・。
夢中で読みました。
現実と虚構、現実と夢テーマは異常に大好きなので、このお話もよかった。今まで読んできたグィンの作品の中でも、一番好きな作品となりました。
夢が現実になってしまう・・・・・・。そのことに恐れを抱く青年オアと、夢を制御してより良い現実を生み出そうとする精神科医ヘイバー。ヘイバーの気持は『デスノート』でデスノートを手に入れたライトみたいな気持なんでしょう。
オアの夢で再構築されていく世界の姿はこれまでのSFのさまざまな未来シチュエーションを踏襲していて、これも面白いです。疫病やら、宇宙人の侵略やら、管理社会やら、いろいろなシチュエーションが一冊で読めてお得。
後半の現実の改変に対するオアの思想なんかも、極めて面白いし、バーチャルリアリティやなんかで現実感を喪失しがちな現在の我々にこそ、この物語は響いてくるものなのかもしれません。
ところで、途中でビートルズの『ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ』が登場するのですが、この曲は大好きなので、口ずさみながら読みました。小説の中に登場する曲が知ってる曲だと妙に嬉しい。
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