愛車ハーレーを駆ってカリフォルニア一帯に略奪グループ《ヘルス・エンジェル》の名を馳せたヘル・タナーは、その抜群の運転能力をみこまれて、カリフォルニア政府からボストン向けペスト血清輸送の任務を託される。核ミサイル攻撃によって世界の大半が失われた広大なアメリカ大陸にたった二つ残った国の一つが、今、ペストで死滅しようとしているのだ。だが、大陸横断を試みる彼の行手に立ちはだかるのは〈呪いの横丁〉―放射能に汚染され言語に絶する危険にみちみちた、まさに地獄そのものの地帯だった!67年度ヒューゴー賞ノヴェラ部門にノミネートされた米国派ニュー・ウェーブ作家の野心作!
ロジャー・ゼラズニイに初挑戦。名作は後にとっておきたいので、とりあえず様子見でこの作品を読んでみたのですが・・・・・・。面白い!
「終末もの+暴走族」という計算式で思い出すのは、メル・ギブソン主演の『マッド・マックス』シリーズ、そして、その世界観をパクった『北斗の拳』。そのヴィジュアルをイメージして読むと、頭の中に作品の光景がまざまざと浮かんできてよかった。
主人公はろくでもないやつなんですが、その主人公の心が融解してくる途中の場面がよかった。特に世界がうまく運動するような機械の操作がしたかったんだ、と語る場面が素晴らしい。しかし、自分がその歯車のひとつになろうという気配をその後はあまり見せなかったのが残念というか。
ロケット弾やら、機銃やら、刃物やらを装備した車もすごい。さらに、途中で略奪者を殲滅するのにそれを使って、バタバタと相手を薙ぎ倒していくシーンがあって、『戦国自衛隊』で槍やら刀を持った兵士を近代兵器でバッタバッタとなぎ払っていく自衛隊を思い出しました。残虐シーンです。
「呪いの横丁」を通る途中に登場する車よりでかいトカゲや、人間並みのでかい蜘蛛とか「放射能=巨大化」という思想は普遍的なのでしょうか。しかし、ハッタリがきいててよかったです。爆発シーンも多くて、道なき道を失踪する感覚と相俟って、実に爽快な作品となっております。
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